美容室のカルテは、お客様の情報を適切に管理するための重要なツールです。
しかし、カルテの保管スペースが足りない、記録する内容を見直したい、電子カルテに移行したいなど、運用面で様々な課題を抱えている美容室も多いのではないでしょうか。
本記事では、美容室カルテの役割や記載すべき情報、紙カルテと電子カルテの特徴について解説します。カルテ運用の改善を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
美容室経営に不可欠なカルテの役割とは?
美容室のカルテとは、顧客の名前や連絡先といった基本情報を記録するための顧客管理ツールです。そのほかにも、ヘアスタイルや髪質、スタイリストへの具体的な要望なども記録します。
カルテに記録した情報を活用することで、お客様一人ひとりの好みや要望に合わせたサービスを提供し、顧客満足度の向上につなげられます。
ここでは、カルテが果たす具体的な役割を詳しく解説します。
お客様のニーズや悩みの把握と共有
美容室のカルテは、お客様のニーズや悩みを正確に記録することで、スタッフの記憶に頼らない、安定したサービスを提供する役割を果たします。
美容室では、前回の施術から数カ月経過してから来店されるお客様もいます。お客様側は前回の施術内容や会話を覚えていても、美容師は日々多くのお客様を担当しているため、すべての内容を正確に記憶しておくことは困難です。
しかし、カルテに詳細な情報を記録しておけば、前回のカウンセリングを踏まえたサービスを提供できます。
例えば、お客様の「明るすぎない程度」という感覚的な要望や、その時に行ったカラー剤の配合もカルテに残すことで、一から髪色を模索する必要がなく、前回と同じ仕上がりを再現することが可能です。また、前回の施術後の仕上がりについてお客様の感想を確認しながら、より好みに近い提案ができます。
お客様の細かい要望を正確に把握しながら共有できれば、「自分の悩みをきちんと理解してくれた」と感じられ、お客様も安心して施術を受けられるでしょう。カルテを活用してお客様とニーズや悩みを共有することは、単なる施術記録にとどまらず、信頼関係を深める手段といえます。
薬剤の配合や施術手順を記録して安全性を確保
美容室では、ヘアカラーやパーマなどで様々な薬剤を使用します。薬剤の種類によっては、お客様の髪や頭皮の状態に合わない場合もあるため、使用後の状態を必ず記録として残しておく必要があります。
たとえば、お客様が「ヘアカラー後に頭皮がかゆくなった」と訴えた場合、その記録をカルテに残しておけば、次回からは刺激の少ない薬剤を選んで施術できます。
また、以前使用した薬剤の配合比率や放置時間も記録しておくことで、色ムラや仕上がりのばらつきを防ぎ、安定した施術が可能です。
一方、前回の施術内容をカルテに記録していなかった場合、同じ薬剤を使用することで、トラブルが起きるかもしません。その結果、お客様の体調や髪の健康状態に影響を与えるだけでなく、美容室の信頼を大きく損なう可能性もあります。
このように、薬剤の配合や施術手順をカルテに記録することは、美容室での安全性を確保するための重要な役割を果たします。
効果的なマーケティング施策の実現
美容室のカルテには、お客様の来店履歴や購入履歴など、多くの情報が記録されています。この情報を活用することで、一人ひとりに合った商品やサービスの提案ができるため、効果的なマーケティングにつなげることが可能です。
たとえば、カラーリングやパーマを定期的に利用されるお客様には、髪の状態に合わせたヘアケア商品を提案できます。「カラー後の髪の乾燥が気になる」というお客様には、うるおいをキープできるトリートメントを紹介するなど、自然な形で販売促進につなげることができるでしょう。
また、以前に店販でシャンプーを購入したお客様には「前回のシャンプーの効果はいかがでしたか?同じシリーズのスタイリング剤を試してみませんか?」といった具体的な提案ができます。
このように、カルテの情報を活用した提案は、お客様との信頼関係の構築にもつながるため、リピーターの獲得にも有効です。
美容室のカルテに書くべき4つの情報
美容室のカルテには、顧客の満足度を高め、次回以降のサービスにつなげるために重要な情報を記録する必要があります。
美容室のカルテに書くべき情報は以下の4つです。
- 基本的な個人情報やアレルギーの有無
- 髪質や頭皮の状態
- 施術内容や店販購入履歴
- カウンセリング内容や施術中の会話内容
上記について詳しく解説します。
基本的な個人情報やアレルギーの有無
美容室のカルテには、お客様の個人情報やアレルギーの有無を正確に記載することが大切です。
基本的な個人情報として、以下の項目を記録します。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- 生年月日
- 職業
- メールアドレス
個人情報が間違っていると、緊急時の連絡ができない場合や重要なお知らせが届かないなどのトラブルにつながる可能性があります。そのため、新規来店時に必ず確認し、変更があった場合はその都度更新することが大切です。
また、安全な施術のために、以下のようなアレルギー情報も記載しておきましょう。
- 薬剤アレルギー(アレルゲンを含む薬剤の使用を避ける)
- 金属アレルギー(ヘアピンなどの金属製品の使用を避ける)
- ゴムアレルギー(ゴム手袋の使用を避ける)
さらに、「シャンプーの際の姿勢がつらい」「薬剤のにおいで気分が悪くなりやすい」といった体質に関する情報も記録しておくと、お客様一人ひとりに合わせた対応ができます。
髪質や頭皮の状態
髪質や頭皮の状態は個人差が大きく、適切な薬剤の選定や施術方法の決定に影響します。ダメージ軽減や施術効果の持続性向上のためにも、なるべく詳細に記録しておきましょう。
髪質に関しては、以下の項目を確認します。
- 髪のクセ(例:強いクセ、軽いウェーブ)
- 柔らかさ(例:猫っ毛、普通、硬い)
- ダメージ度合い(例:毛先が傷んでいる、全体的にパサついている)
- 過去の施術履歴(例:ブリーチ経験、黒染めの有無)
- 髪質の傾向(例:カラーが入りやすいが抜けやすい)
また、頭皮の状態に関しても以下の項目をチェックします。
- 乾燥の有無(例:フケが多い、乾燥している)
- 脂っぽさ(例:オイリー肌、べたつきやすい)
- 頭皮の敏感さ(例:施術中に刺激を感じやすい)
カルテに適切な情報が記録されていれば、薬剤の種類や量を適切に調整でき、ダメージを最小限に抑えた施術が可能です。また、シャンプーやカラー作業を担当するスタッフも、お客様が抱えている悩みや体質を事前に確認できるため、より安全で快適なサービスを提供できます。
施術内容や店販購入履歴
施術内容や店販(商品販売)の履歴もカルテに記載しておくべき情報です。
施術内容は以下の項目を記録します。
- 施術したメニュー(カット、カラー、パーマ、トリートメントなど)
- 使用した薬剤やカラー番号
- 希望したヘアスタイルと施術後の写真
- 次回おすすめの施術(ヘアスタイルの維持、カラーリタッチなど)
- お客様の感想や気になる点
特に施術後の写真があると、「前回と同じ感じで」というオーダーにも正確に対応できます。長期間来店がなかった場合でも、以前の状態を確認しながら施術の提案が可能です。
また、店販については以下の情報を記録します。
- 購入した商品の名前(例:トリートメント、スタイリング剤)
- 商品の使用感に対するお客様の感想
- 購入を見送った場合の理由(例:価格、香りの好み)
商品購入を見送られた場合でも理由を記録しておくことで、次の来店時に購入につながりやすい提案ができます。
カウンセリング内容や施術中の会話内容
お客様とのカウンセリング内容や会話の記録も、カルテに残しておくべき重要な情報です。
カウンセリングでは、以下のような内容を記録します。
- 家族構成や背景(例:子どもが小さく、ヘアケアに時間を取れない)
- ライフスタイル(例:仕事の都合で明るい髪色ができない)
- スタイリングの好み(例:普段のセットは簡単にしたい)
- ファッションのテイスト
- 趣味や休日の過ごし方
普段の生活スタイルを知ることで、お手入れにかけられる時間や頻度を把握できます。
例えば、「朝は子どもの支度で忙しい」というお客様には、簡単にスタイリングできるヘアスタイルの提案ができます。また、「週末は運動をよくする」というお客様には、汗で崩れにくいスタイリング剤をおすすめすることで、お客様自身も気づいていなかった悩みの解決につながります。
ただし、プライバシーに関わる情報のため、記録する内容には十分な配慮が必要です。お客様の中には会話を望まない方もいるため、状況に応じて柔軟な対応を心がけましょう。
美容室で使用するカルテの種類と特徴
カルテの形式は大きく分けて紙カルテと電子カルテの2種類があります。どちらの運用方法が適しているかは、美容室それぞれの運営スタイルによって異なります。
ここでは、紙カルテと電子カルテの特徴やメリット・デメリットを紹介します。
紙カルテ
紙カルテとは、顧客情報や施術内容を手書きで記録し、ファイリングして管理する方法です。導入しやすいものである一方、顧客数や店舗規模が増えると管理が煩雑になりやすいといった課題もあります。
紙カルテのメリット
- 手書きの柔軟性
紙カルテの最大の特徴は、髪の毛の流れやうねりなど、文字だけでは伝えられない情報を図で記録できる点です。視覚的な情報を重視したい場合に便利です。 - 導入の手軽さ
紙とファイルがあればすぐに運用でき、電子機器や専用ソフトの購入が不要です。初期コストを抑えたい美容室に適しています。 - 自由度の高さ
手書きで自由にメモを取れるため、顧客の趣味や会話内容など、柔軟に情報を追加できます。
紙カルテのデメリット
- 保管スペースの問題
顧客の数が増えるに従い、カルテの量も膨大になります。保管場所の確保が必要となり、スペースの制約を受ける可能性があります。 - 情報の検索効率が低い
長期間来店がなかった顧客のカルテを探す際、膨大な量の中からカルテを探す必要があり、時間がかかる場合があります。 - 紛失や劣化のリスク
紙媒体であるため、水濡れや紛失、経年劣化で文字が読みづらくなる可能性があり、重要な情報を失うリスクが伴います。また、クセの強い文字は正確に読み取れない場合もあります。 - カルテを確認できる場所が制限される
紙カルテは物理的に店舗内に保管されるため、他店舗や外出先では履歴を確認できません。外出中に顧客履歴を参照する必要がある場合、大きな制約となります。
電子カルテ
電子カルテは、スマホやタブレットなどのデバイスを使用して顧客情報や施術履歴を記録する方法です。データはクラウド上で管理されるため、情報の検索や共有が容易になる一方、システムの操作方法の習得に時間がかかることや、利用料が発生するといった面もあります。
電子カルテのメリット
- ペーパーレスで保管スペースが必要ない
電子カルテは紙を使用しないため、顧客情報を保管するための物理的なスペースが不要になります。空いたスペースを他の用途に活用できます。 - 検索と閲覧が簡単
クラウド上でデータを管理するため、顧客ごとの情報を簡単に検索・閲覧できます。紙カルテのように膨大な量の中から探す手間がなくなり、作業効率が大幅に向上します。 - 柔軟なアクセス性
スマホやタブレットを使用して、店舗外や外出先でも顧客履歴を確認できるため、柔軟な運用ができます。 - 多機能な記録が可能
テキストだけでなく、イラストや写真をデータとして記録できるため、詳細な情報を一目で把握できます。
電子カルテのデメリット
- 操作に慣れる必要がある
システムの導入にあたって、操作方法の習得が必要です。また、操作方法に慣れるまで時間がかかることがあります。 - 導入コストがかかる
システムの利用料が発生するため、紙カルテに比べ費用がかかる場合があります。
紙カルテから電子カルテへの移行は労力がかかる
紙カルテを使用している美容室が電子カルテを導入する場合、既存の顧客情報の入力作業が必要です。膨大な量のカルテから必要な情報を選別しながら1枚ずつデータ化する作業は、かなりの時間と労力がかかります。
また、移行作業は通常の営業と並行して行うため、スタッフの負担が大きく増えることが予想されます。
移行作業の手間を避けるには、新規開業時から電子カルテを使用することが理想です。紙カルテをすでに運用している店舗であれば、大規模なリニューアル時などのタイミングを見計らって電子カルテの導入を検討しましょう。
ビューティーパレットでカルテの運用を効率化
電子カルテの種類は豊富で、機能や料金も様々です。電子カルテの導入を検討していても、どのシステムを選べばよいか迷うことも多いでしょう。
そこでおすすめなのが「ビューティーパレット」です。
ビューティーパレットは、初めて電子カルテを導入する美容室にも使いやすい仕様となっており、業務の効率化を実現できます。
直感的な操作性で導入がスムーズ
ビューティーパレットは、紙カルテのように直感的に使える操作性が特徴の電子カルテです。画面をタッチするだけの簡単な操作なので、パソコンが苦手な方でも扱いやすい仕組みになっています。
また、通常のテキスト入力に加え、タブレットに直接手書きできるため、髪の流れや施術のポイントなど、文字だけでは伝わりにくい情報もイラストで表現が可能です。
紙カルテからの移行がスムーズにできる設計になっているため、初めて電子カルテを導入する美容室でも安心して利用できます。
画像での記録が簡単にできる
ビューティーパレットでは、写真や画像もカルテに保存できます。スマートフォン・タブレットのアプリを使って撮影した画像をそのまま保存できるため、別途データを転送する手間がありません。
画像があれば、髪の流れや仕上がりの微妙なニュアンスなど、文字や絵では表現しづらい情報も正確に残せます。また、前回の仕上がりをお客様と確認しながら施術することも可能です。
スタッフ間での情報共有もスムーズになり、担当が変わる場合でも、写真を見ながら前回と同じ仕上がりを再現しやすくなります。
必要なお客様の情報がすぐに見つかる
ビューティーパレットは、必要なお客様情報をすぐに検索できるため、カルテの管理を効率化できます。
紙カルテの場合、顧客数が増えるにつれて膨大な量のカルテが必要となり、お客様の情報を探すのに手間がかかるだけでなく、紛失のリスクもあります。さらに、保管スペースの確保も必要です。
一方、ビューティーパレットであれば、検索機能を活用して顧客名や施術内容、来店履歴などの必要な情報を瞬時に見つけ出せるため、カルテを探し出す手間が省けます。情報の追加や修正も簡単に行えるため、最新の顧客データを常に維持しやすくなります。
また、ペーパーレス化によって保管場所が不要になり、現在使用しているスペースを他の用途に活用できる点もメリットです。ビューティーパレットは、業務効率を向上させるだけでなく、美容室の限られたスペースの有効活用にも貢献します。
スマートフォン・タブレットでどこでも確認可能
ビューティーパレットは、スマートフォンやタブレットがあれば、どこからでもカルテ情報を確認できます。
予約システムとも連携しているため、例えば、自宅で翌日の予約情報からカルテを確認することも可能です。また、店舗でカルテを確認する場合も、バックヤードなど落ち着いた場所で確認できるため、お客様一人一人に合わせた丁寧な提案ができます。
カルテ情報は店舗の外でも確認できますが、お客様の個人情報を含むため、画面を他人に見られないよう情報管理には十分な配慮が必要です。
まとめ
美容室のカルテは、施術内容の記録だけでなく、お客様に安全で満足度の高いサービスを提供するために欠かせないツールです。正確な情報を記載し、適切に運用することで、安心して施術を提供できる環境が整います。
さらに、カルテを電子化することで、情報の検索が容易になり、保管スペースの問題も解決できます。特に「ビューティーパレット」は、直感的な操作性と写真・画像の記録機能を備えており、初めて電子カルテを導入する美容室でも安心して使用できます。
スマートフォンやタブレットからいつでもアクセスできるため、業務の効率化にもつながります。カルテ運用の改善を検討されている方は、ビューティーパレットの導入をぜひご検討ください。