集客のために、ポータルサイトやSNSなどの予約チャネルを増やしている美容室も多いと思います。
インターネットを使った予約は、手間がかからないため予約のハードルが下がり、客数の増加が見込めますが、一方で予約のキャンセルに対してのハードルも下がるため、キャンセルの数が増えてしまっていることに悩むオーナーもいるのではないでしょうか。
キャンセル防止策として「キャンセル料」を設定することが挙げられます。
今回は、美容室におけるキャンセル料の現状、キャンセル料を設定するメリット、キャンセル料設定時の注意点、キャンセルを減らすための工夫について解説します。
予約のキャンセルに悩んでいる方、キャンセル料導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
美容室におけるキャンセル料の現状
美容室におけるキャンセル料の現状はどうなっているのでしょうか?
まず前提として、美容室がキャンセル料を設定・請求するのは問題ありません。予約段階で、お客様と美容室の間で契約が結ばれたと判断されるからです。
民法415条の「債務不履行に基づく損害賠償」に記載がある通り、債務不履行や履行不能があった場合、債権者は債務者に対して損害賠償を請求できます。
キャンセル料はある程度自由に設定できます。ただし、消費者契約法によって「平均的な損害額を超える分は無効」と定められており、消費者が一方的に不利になる料金設定にはできません。
また、キャンセル料を請求する場合は、トラブル防止のため、キャンセルポリシーに「どのタイミングで」「キャンセル料がいくら発生するか」を記載して提示する必要があります。
キャンセル料の相場は施術料金がベース
美容室のキャンセル料は、お店が独自に設定できます。
ここで気になるのは「キャンセル料をどうやって決めれば良いのか」「どれくらいが相場なのか」だと思います。
美容室の場合、一般的なキャンセル料の相場は、施術料金をベースとして、以下の料金設定にしている店舗が多くなっています。
- 前日キャンセル ⇒ 予約メニュー料金の30%
- 当日キャンセル ⇒ 予約メニュー料金の50%
あくまで相場ですので、自分のお店でキャンセル料を設定する際は、自分のお店に合った金額を決めてください。
注意点として、あまりに高すぎるキャンセル料は「平均的な損害額を超過している」と判断され、法的に無効となります。さらに、お客様の印象が悪くなるリスクがあることも覚えておきましょう。
キャンセル料を請求しても受け取れるケースが少ない
美容室がキャンセルに関するルールを公開していても、お客様から必ずキャンセル料を受け取ることができるとは限りません。
お客様都合のキャンセルは、お客様が一方的に契約を破棄するのと同意ですので、キャンセル料の支払い義務が生じます。
しかし、実際のところはキャンセル料の支払いを拒否する、連絡がつかなくなるなど、法律上問題となることを理解していない方もいます。
キャンセル料の支払いに応じてもらえない場合は、弁護士に債権回収を依頼するなどの対策が考えられますが、非常に手間がかかります。また、キャンセル料よりも、弁護士費用の方が高額になるケースも珍しくありません。
そのため、予約のリマインドなどの「キャンセル防止対策」と、確実に料金を徴収する「事前決済」など、キャンセルに対する根本的な対策を打つことが重要です。
キャンセル料を回収するオンラインサービスも登場してきている
近年では、キャンセル料を店舗に代わって回収する「予約キャンセル料回収代行サービス」も利用されています。
予約キャンセル料回収代行サービスとは、予約がキャンセルされた際に、キャンセル料を回収するための手続きを代行してくれるサービスのことです。
気になる利用料金ですが、ほとんどの場合、回収料金の一部を成功報酬として業者に支払います。業者によってはサービスの契約料や月額利用料がかかるケースもあります。
料金はかかりますが、ビジネスオーナーはキャンセル料の回収にかかる手間やリスクを軽減できるというメリットがあります。予約キャンセルで困っているというオーナーはサービス導入を検討してみてください。
キャンセル料を設定するメリット
キャンセルポリシー作成の手間はかかりますが、きちんとルールを設定しキャンセル料を導入することは美容室にとってメリットがあります。
キャンセル料を設定するメリットは以下のとおりです。
- 機会損失を最低限に抑えられる
- 不当なキャンセルの抑止力になる
- サービスの品質を維持できる
それぞれの項目について、詳しく解説します。
損失を最低限に抑えられる
キャンセル料を設定することで、売上損失を最低限に抑えられます。
キャンセルポリシーをお客様に明示していれば、予約がキャンセルされた場合でも、キャンセル料を徴収することで、ある程度の収入を確保できます。
本来あるべきはずの売上が0になるのと、売上の一部でも回収できるのとであれば、後者の方がビジネスの安定性が高まります。
キャンセル料の導入は、美容室経営のリスク対策になることを覚えておきましょう。
不当なキャンセルの抑止力になる
キャンセル料を設定していれば、不当なキャンセルの抑止力になります。
自己都合による急なキャンセルは、キャンセル料が発生するということを認識してもらえば、お客様は予約に対して責任を持ち、慎重な行動に繋がります。
これにより、無断キャンセルや直前でのキャンセルの発生率の低下が期待でき、売上損失を抑えられます。
サービスの品質を維持できる
キャンセル料を導入すると、結果的に店舗サービスの品質を維持できるようになります。
キャンセル料を設定することで、予約キャンセルが減り、店舗は計画通りに運営しやすくなるためです。さらに、サービスの質を維持または向上するための時間を確保できます。
また、キャンセル料は他のお客様に対しての公平性を保つという意味でも役立ちます。
キャンセルが頻繁に発生する状況では、予約を取りたくても取れないお客様が生まれる可能性があり、それによって機会損失も発生するでしょう。
お客様が来店したいタイミングを提供することもまた、店舗の大切な仕事ですので、キャンセル料を設定して、予約環境を適正な状態に保ちましょう。
キャンセル料を設定する際の注意点
キャンセル料の設定は美容室にとってメリットがありますが、設定する際にはいくつかの注意点があります。
これからご紹介する注意点を踏まえて、キャンセル料金やキャンセルポリシーを設定することで、お客様との信頼関係を保ちながら店舗の売上を確保できるようになります。
予約キャンセルのルールを作る前に、注意点をしっかりと確認しておきましょう。
高すぎるキャンセル料はお客様が離れる原因になる
キャンセル料金が高すぎると、お客様に不満を持たれ、客離れの原因になる可能性があります。キャンセル料は「平均的な損害額」の範囲内であれば、店舗が自由に設定でき、法律でその権利が保証されています。
しかし、美容室の場合は
- 前日キャンセル ⇒ 予約メニュー料金の30%
- 当日キャンセル ⇒ 予約メニュー料金の50%
が相場であり、ある程度周知されているため、相場よりもパーセンテージが高いとお客様にキャンセル料が高いと思われる可能性があります。また、相場通りのパーセンテージでも高額なメニューの場合は、キャンセル料が高くなります。
すべてのメニューに対してパーセンテージで金額設定するのではなく、この価格ライン以上のメニュー料金の場合はいくらなど、工夫も必要です。
相場はあくまでも相場ですので、実際の経営コストや競合他社の価格設定を鑑みて、キャンセル料金を決めるのが良いでしょう。
キャンセルポリシーの設定と周知を徹底しないとトラブルになる
キャンセル料を導入する場合は、キャンセルポリシーの設定と周知を徹底しないとトラブルになる可能性があります。
キャンセルポリシーとは、予約や契約のキャンセルに関する規定や条件のことで、主に以下の項目を記載します。
1.キャンセルの期限
予約をキャンセルする場合、予約日の何日前からキャンセル料が発生するのかを具体的に決める。
2.キャンセル料
キャンセル料は消費者契約法に基づいて公正な範囲で設定する。キャンセルのタイミングによって金額が変わる場合は、そのことを明記する。
3.キャンセルの方法
予約をキャンセルする場合に必要な手続きを記載する。電話、メール、LINEやInstagramなどのSNS、予約システム・予約サイトなど、受付の窓口を複数用意するとお客様の利便性が向上する。
4.返金方法
決済済みの予約をキャンセルした場合の返金方法について記載する。直接返金、現金書留、振込返金、オンライン返金など、お客様の選択肢を増やすことで安心してご利用いただける。
5.キャンセルの例外事項
特定の状況や理由によって、キャンセル料を請求しない場合は、その条件を記載する。(例:天災、事故、怪我や病気が理由でのキャンセル)
キャンセルポリシーを設定したら、お客様が予約をする際にポリシーが明示され、同意した場合のみ予約を受け付けるように予約システムを組みましょう。
お客様にキャンセルポリシーが伝わっていない状態でキャンセル料を請求すると、トラブルの原因になるので注意してください。
柔軟な対応を心がける
キャンセル料のルールは守るだけではなく、柔軟な対応を心がけることも大切です。
たとえば、お客様のキャンセルの中にも、自然災害や病気、怪我など、不測の事態でやむを得ない場合も考えられます。
このような場合は、キャンセル期限を過ぎていてもキャンセル料を請求しない旨をキャンセルポリシーに記載することで、お客様は安心して予約を行えます。
また、美容室の運営は、お客様との信頼関係がなにより大切です。美容室の規模によってはすべてのお客様に対して一律の対応をするのではなく、リピーターへは柔軟に対応するなどの工夫をすることも心がけましょう。
従業員を雇っている場合は、例外対応になる基準のすり合わせ、例外対応の方法をきちんと周知する必要があります。日頃からコミュニケーションをとって、従業員が自分と同じ基準で判断できる状態を整えましょう。
キャンセルを減らすための工夫
美容室を運営するうえで、キャンセルが少ないほど安定した売上につながります。キャンセルポリシーを設定することで、キャンセルは減少に向かいますが、それだけではキャンセル対策としては不十分です。
ここでは、キャンセルを減らす工夫にはどんなものがあるのかご紹介します。
サービスの質を高めて顧客満足度を上げる
キャンセルを減らすには、美容室で提供するサービスの質を高めて顧客満足度を上げることが大切です。
質の高い施術、感じの良い接客など、お客様が価値を感じるサービスを提供できれば、必ず店舗に行きたい、また行きたいと考えるようになります。結果、キャンセル防止とリピーター獲得の両方の効果が見込めます。
また、予約まわりの利便性を高めることもキャンセルを減らすのに効果的です。予約日時の変更手続きがいつでも、簡単にできるシステムであれば、お客様は安心して美容室を予約できるようになります。
予約日の前日にリマインドメールを送る
予約日の前日にリマインドメールを送信する方法は、キャンセル対策として有効です。
万が一、お客様が予約日時を忘れていても、メールやSMSなどでリマインドメッセージを送信することで思い出してもらうことができます。
予約の1週間前や3日前といったタイミングで、予約の変更リンクを記載したリマインダーを送信できれば、お客様の予定変更に柔軟に対応できます。キャンセルを防ぐ方法の1つとして覚えておきましょう。
ただし、リマインドメールを頻繁に送信すると、お客様の負担になったり、お店の印象が悪くなったりするリスクがあるので注意しましょう。
予約システムを導入する
予約システムを導入して、お客様が予約内容を変更しやすい環境を整えることで、キャンセルを減らせます。システムを導入していれば、24時間365日予約変更が可能です。営業時間外や定休日であってもお客様は自身のタイミングで予約内容を変更できます。
また、電話連絡だけではなく、スマートフォンやパソコンから簡単に予約変更できる方が、お客様のストレスが少なくなり、キャンセルのリスクを減らせます。
予約システムを導入する場合は、システムの利用料金だけで判断するのではなく、お客様が直感的に操作できる、説明がわかりやすいなど、お客様の立場に立って使いやすいものを選ぶことが大切です。
前払い制を導入する
予約段階でサービス料金を支払う「前払い制」を導入することで、キャンセルを防止できます。もし、キャンセルが発生した場合でもサービス料金は支払済みですので、キャンセル料を差し引いての返金が可能となり、店舗の売上が完全にロスになることはありません。
前払い制を導入する場合は、お客様に料金システムの内容がしっかりと伝わるようにすること、なるべく多くの決済手段を準備することが重要です。
美容室のキャンセル対策にサロエボが選ばれる理由
美容室のキャンセルを減らす対策としては、24時間365日予約変更できる環境を整える、リマインドメールを送信する、事前決済を導入するなどが挙げられます。これらを解決するためには、システムの導入がおすすめです。
システムの中でも特におすすめなのが、美容室の業務を一元管理できるPOSシステム「サロエボ」です。
サロエボは、予約管理の他に、売上管理、顧客管理、販促機能、会計などの美容室経営に必要な業務を電子化して一元管理できるので、業務を効率化できます。
ここからは、美容室のキャンセル対策にサロエボが選ばれる理由をご説明します。
顧客データと連動したリマインドメールで予約忘れを防ぐ
「サロエボ」は、顧客データと連動したリマインドメールでお客様の予約忘れを防止できます。サロエボのリマインド機能を使えば、予約日の1週間前や前日など店舗が送信したいタイミングでリマインドメールを自動送信できます。
予約忘れを防げるので、お客様は安心して美容室を予約できます。
また、リマインドメールはキャンセル対策としても有効です。メッセージに予約変更ページのリンクを挿入しておけば、お客様が予約日時の変更をしたいときに、すぐに変更可能です。
様々な予約チャネルからの予約を一元管理できるシステム「かんざし」と連携すれば、変更された予約情報をシステムが受け取り、連動しているすべての予約サイトの情報を自動で上書きします。
定期的なDMで集客力を高められる
「サロエボ」を導入すれば、お客様の属性に合わせたDMで集客力を強化できます。
たとえば、お客様のお誕生日の1週間前に自動でメール送信、最後のご来店から2ヶ月経過したお客様に自動メール配信など、店舗が設定した条件に合わせてピンポイントでの訴求が可能になります。
送信の履歴も残りますので、どの訴求が効果的だったのか、後から検証して自分の店舗に合った訴求方法を確認できます。
サロン特化型のPOSシステム「サロエボ」
予約システムとの連携で最適な人員配置ができる
「サロエボ」は予約システム「かんざし」との連携で最適な人員配置を実現できます。
急な予約変更やキャンセルがあっても、システムが自動で最適なシフトを提案します。
予約情報に合わせてシフトを組むので、繁忙期や閑散期、曜日や時間帯といった来店客数の増減にも自動で対応でき、効率的なシフト組みで店舗の人件費をあるべき金額に抑えます。
まとめ
今回は、美容室におけるキャンセル料の現状、キャンセル料を設定するメリット、キャンセル料設定時の注意点、キャンセルを減らすための工夫について解説しました。
キャンセル料を導入すれば、キャンセルが発生しても一定額の売上を確保できるため、ビジネスの安定性が高まります。導入時の注意点としては、法律の範囲内でキャンセル金額を設定すること、キャンセルポリシーを作成しお客様に明示することが挙げられます。
ただし、美容室のキャンセル料を設定することも大切ですが、キャンセルが起こらないように対策することも忘れないようにしましょう。使いやすい予約システムを導入し、顧客満足度を高めつつ、リマインドメールでお客様の来店忘れや、直前のキャンセルを防げます。
リマインドメールの配信や、予約チャネルの管理に手間がかかるという場合には、サロエボとかんざしの導入をご検討ください。