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美容室の経費はどこまで?適切な管理と利益を伸ばす4つの管理術

POSシステム

美容室を経営する上で避けられないのが経費の管理です。

売上が伸びて利益が増えれば、税金も増えていく傾向にありますが、経費を適切に計上することで税負担を抑えられます。

しかし、経費として計上できるものを理解しているだけでは十分とはいえません。単に経費を計上するだけでなく、無駄を省き、必要な支出を効率よく管理することが重要です。

経費を抑える工夫することで、コストを抑えながらサロンの魅力を高め、結果として利益アップとお客様満足度の向上を同時に実現できる可能性があります。

ここでは、美容室経営者の皆様が明日からすぐに実践できる「経費削減の具体策」と「業務効率化の方法」を解説します。

美容室経営における経費管理の基礎知識と重要性

美容室の経営では、売上から発生する経費を正しく把握し、適切に計上することが基本です。経費として認められない経費を計上すると、税務調査で指摘を受けてペナルティが課せられる可能性があります。

反対に、経費として認められる支出を見落とすと、必要以上の税金を支払うことになりかねません。安定した経営の基盤を築くためには、経費に関する正しい知識を持ち、適切に管理することが不可欠です。ここでは、美容室経営における経費の基本的な考え方から、具体的な管理方法までを解説します。

美容室経営者が知っておくべき経費の仕組み

経費は、事業の収益を得るために使用した費用のことを意味します。

美容室を経営する場合、毎月の家賃やスタッフの給与、シャンプーなどの消耗品代が経費の代表的な例です。事業活動に直接関係のある支出のみが認められるため、それ以外の支出は経費とは認められません。

経費は、事業で発生する必要経費のうち、仕入以外の経費を記録する経費帳に勘定科目ごとに取引の日付や金額、内容などを記載します。勘定項目とは、支出の内容を分かりやすく整理するための区分けです。

たとえば、スタッフに支払う給料や賞与は「人件費」として、予約や問い合わせで使用する電話やインターネットの費用は「通信費」として分類します。

このように、支出の内容ごとに適切な勘定項目に分類して記録することで、美容室の経費を正確に把握できます。

売上から経費を引いた金額が課税対象になる

美容室の経営では、収益から費用および損失を差し引いた「利益」に対して税金が発生します。

収益とは、美容室でいえば施術やヘアケア商品の売上にあたります。つまり、売上に対して適切な経費を計上することで課税対象となる利益が減り、結果として税負担の軽減につなげることが可能です。

ただし、この仕組みは法人でも個人事業主でも共通ですが、税金の種類には違いがあります。

個人事業主

個人事業主として事業を営む場合、利益に対して所得税と住民税が課せられます。
所得税については、所得の額に応じて税率が変動する「累進課税制度」が採用されています。所得が増えれば増えるほど税率が段階的に上がるため、負担も大きくなります。
所得金額に対する所得税率は以下のとおりです。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

引用:No.2260 所得税の税率|国税庁
住民税は、管轄する市区町村によって税率が異なりますが、多くは、前年の所得に対して10%となっています。
また、理容・美容業を含む特定の70業種を営む個人事業主のうち、年間290万円を超える所得を得た場合、個人事業税も課税されます。個人事業税の税率は、業種によって3~5%となり、美容師免許が必要な美容業は、年間所得に対して5%です。
このように、個人事業主の場合は所得の金額によって税負担が大きく変わるため、適切な経費管理が重要となります。

法人

法人で事業を営む場合は、所得に対して法人税、法人住民税、法人事業税が課されます。
法人税の税率は法人の規模によって異なり、資本金1億円以下の中小企業の場合、年間所得800万円以下の部分は15%、800万円超の部分は23.2%です。
法人住民税は、都道府県民税と市町村民税で構成され、法人税額に対してそれぞれ一定の税率が課されます。また、法人事業税は所得に応じた標準税率は3.5~9.6%です。
法人が得た利益から役員に支払われる役員報酬は、給与所得として扱われ、所得税と個人住民税が課せられます。法人の利益に対する税率は、個人事業主の所得税と異なり、ほぼ一定の税率が適用される点が特徴です。
このように法人は複数の税金が課されますが、個人事業主と比べて経費として計上できる項目が多いため、より大きな節税効果が期待できます。

経費は固定費と変動費の2種類に分けられる

美容室の経営にかかる経費には、大きく分けて固定費と変動費の2種類があります。
経費の種類とそれぞれの違いは以下の通りです。

費用区分 費目 内容
固定費 家賃 テナントを借りるための家賃など
水道光熱費 電気、ガス、水道などの料金
通信費 インターネットや電話回線などの料金
人件費 スタッフの基本給与、社会保険料など
保険料 火災保険やスタッフの労災保険の料金など
広告宣伝費 定期契約の広告費用や看板設置費用など
技術研究費 定期的な講習会費用など、計画的に発生する費用
変動費 消耗品費 シャンプーやタオルなどの購入費
材料費 カラー剤やパーマ液などの購入費
旅費交通費 出張や研修などの移動にかかる費用
修繕費 設備や機器の修理やメンテナンスなどにかかる費用
雑費 その他、業務量に応じて発生する諸経費

経費のうち固定費は、売上に関係なく一定の額が発生する費用です。変動費は、売上や業務量に応じて金額が変動する費用になります。
なお、変動費と固定費を分ける明確な基準は存在しません。例えば、水道光熱費は、基本料金部分は固定費として、使用量に応じて支払う部分は変動費として仕分けをすることも可能です。いずれにしても、経費を分類して管理することで、経営判断がしやすくなるため、多くの美容室で採用されています。

経費を分けると経営判断がしやすくなる

経費を固定費と変動費に分けることで二つのメリットがあります。
一つ目は、将来の利益が予測しやすくなることです。
経営者は将来の利益予測をする必要がありますが、固定費と変動費を分けることで売上予測を立てやすくなります。
例えば、来月の売上予測が100万円の場合、変動費は売上の30%で30万円、固定費が毎月40万円と分かっていれば以下のように計算できます。
30万円(予想利益)= 100万円(売上) – 30万円(変動費) – 40万円(固定費)
二つ目は、業績が悪化したときの対策ができることです。
例えば、急な業績悪化で経費を削減する必要がある場合、シャンプーの使用量を極端に減らすなど変動費を無理に抑えると、お客様満足度が下がってしまう可能性があります。
しかし、広告費の見直しや家賃の交渉など固定費を調整することで、サービスの質を落とさずに経費を減らせる可能性が高くなります。
このように、経費を固定費と変動費に分けることで、将来の見通しが立てやすくなり、また経営が苦しくなった時の対策も適切に判断できるようになります。

自宅サロンでは家賃や光熱費の一部を経費にできる

自宅で美容室を経営している場合、家賃や光熱費の一部を経費として計上できます。この場合、「家事按分」という制度を活用します。
家事按分とは、自宅での支出を「仕事で使用している割合」と「私的に使用している割合」に分け、仕事で利用している分だけを経費として計上する仕組みのことです。
例えば、自宅の一部を美容室として使用している場合、そのスペースの面積や利用時間を基に、経費として計上する割合を算出します。
具体的には、家賃、電気代、水道代、ガス代などを対象に、美容室で使用している分だけを経費として計上できます。ただし、この割合を証明するために、部屋の使用状況や電力使用量などを記録しておくことが大切です。
家事按分を適用する際には、正確な計算を行い、曖昧な基準を避けることが重要です。不明瞭な計算では、税務署に認められない場合もあるため、日頃から記録を丁寧に残し、必要に応じて税理士に相談すると安心です。

他店への調査目的で受けた施術は経費になる

競合店舗のサービス内容を調査するために受けた美容サービスは、業務に直接関係する経費として計上できます。
例えば、他店のメニューや接客を学ぶ目的でカットやカラーを体験した場合、その費用を業務上必要な支出とみなすことが可能です。
他店の調査は、サロンのサービス向上や新たなメニュー開発に役立つため、事業活動の一環と見なされます。
また、競合店舗の視察やセミナーへの参加など、業務に関連した移動や宿泊にかかった費用は、「旅費交通費」として経費に含められます。
ただし、事業に関係があることが明確でないと、私的な支出とみなされる可能性があります。そのため、調査の目的を具体的に記録し、領収書や訪問記録をきちんと保管することが重要です。

衣類代を経費にするのは難しい

美容室で使用する衣類の購入費用を経費として計上することは基本的にできません。

ただし、サロンのロゴが入った制服や業務専用のエプロンなど、業務中しか使用しないことが明らかな衣類であれば、経費として計上できる可能性が高いです。

また、経費として認められやすくするために、領収書など購入したことが分かるものを保管しておくことも重要です。購入時の状況や使用目的を明確に示せる記録があれば、税務調査の際の説明材料として役立ちます。

美容室の経費を抑える4つの方法

美容室経営で利益を残すには、経費を適切に計上して税負担を抑えることが大切です。

しかし、売上に対して経費が増えすぎれば利益が減少するため、経費の見直しも欠かせません。ここでは、経費を適切にコントロールしながら、同時にお客様満足度も向上させる具体的な方法を5つ紹介します。

消耗品コストの最適化

美容室の経費の中でも大きな割合を占めるのが、シャンプーやカラー剤などの消耗品です。
使用期限切れによる廃棄ロスを出したり、小ロットでの発注を繰り返したりしていると、売上に対する経費の割合が増えてしまいます。

消耗品の無駄をなくし、コストを適正化するには、以下の3つの対策が効果的です。

適正在庫の把握

在庫管理システムやエクセルなどを活用し、消耗品の使用量や補充タイミングを記録します。適正在庫と現状の在庫が把握できれば、過剰な在庫を防げます。

デッドストックによる廃棄ロスを削減する

商品ごとの使用頻度を把握してリスト化しておくことで、期限内での使用計画が立てやすくなり、期限切れによる廃棄を防げます。特に消耗品の使用期限はスタッフ全員で把握し、期限内に使い切るようにすることが重要です。

まとめ買いと少量発注を使い分ける

頻繁に使用する消耗品はまとめ買いをして単価を下げ、一方で使用頻度が低い商品は少量ずつ発注することで、在庫過多や無駄な出費を防げます。
このように、消耗品管理を効率化することで、美容室のコストを抑えながら無駄を最小限にすることが可能です。
サロエボ

光熱費の無駄を見直す

美容室では照明、ドライヤー、給湯器など、電気やガスを使用する機会が多く、光熱費は大きな負担です。光熱費は経費として計上できますが、使いすぎれば利益の減少につながります。
光熱費の効率的な削減に有効なのが、照明のLED化です。LEDは従来の照明と比べて消費電力が少なく長期間利用できるため、電気代と維持費の両方を抑えられます。電気やガスの契約プランを見直すことも効果的です。美容室の営業時間に合わせて最適なプランに変更することで支出を抑えられます。
また、エアコンや給湯器などの設備を省エネタイプに切り替えることで、日常的な電力消費を抑制できます。これらの対策は初期投資が必要な場合もありますが、長期的に見ると経費削減につながり、環境にも優しい取り組みとなります。

広告宣伝費の費用対効果を高める

近年はSNSや口コミサイトを活用することで、低コストで高い集客効果を得られるようになっています。InstagramやFacebookを使えば、美容室のスタイル写真やキャンペーン情報を無料で発信できるため、高額な広告宣伝費を使う必要がありません。
また、Instagramのビジネスアカウントでは、投稿に対するユーザーの反応を分析できる機能が備わっています。どの投稿が最も反響を得たのかを把握し、効果的な集客施策に活かすことで、広告宣伝費を抑えながら新規顧客の獲得につなげられます。
関連記事:美容室の集客は何が効果的?新規顧客獲得とリピーター増加の方法を紹介

POSシステム・クラウド会計ソフトの活用

美容室の経営改善には、業務の効率化が欠かせません。POSシステムやクラウド会計ソフトを導入することで、日々の業務が大幅に効率化され、人件費を抑えられます。
例えば、POSシステムを使えば、売上データやお客様の購入履歴をデジタルで管理できるため、売上分析や在庫管理が容易になります。また、現金の受け渡しもスムーズになるため、レジ締めの時間を短縮できます。このような日々の会計業務の効率化は、人件費の削減につながります。
また、クラウド会計ソフトと連携すれば、経費や売上のデータを自動で整理できるため、手作業で行っていた経理作業を短縮できます。確定申告に必要な書類作成もスムーズになるため、業務効率化と経費削減の両方を実現できます。

経費削減と業務効率化を実現する「サロエボ」

ここでは、美容室での経費を減らしながら、日々の業務を効率的に進めるためのツール「サロエボ」を紹介します。予約管理や在庫管理、スタッフのシフト調整など、美容室でよくある悩みを「サロエボ」がどのように解決できるのか解説します。
サロン特化型のPOSシステム「サロエボ」

在庫管理の最適化で仕入れコストを削減

「サロエボ」を使うと、施術や商品ごとの売上データを詳細に管理できるため、商品の使用傾向を把握しやすくなります。

どの商品がよく売れているのか、どの施術メニューが人気なのかを一目で確認できるため、必要な商品だけを適切なタイミングで仕入れられます。無駄な在庫を抱えることがなくなれば、仕入れコストを削減できます。

予約状況に応じた効率的なシフト管理による人件費の最適化

「サロエボ」は予約管理システム「かんざし」と連携することで、予約情報をリアルタイムで確認できるようになります。InstagramやGoogle、LINEなどの外部サイトをはじめ、各種予約サイトや美容室の公式ホームページからの予約、さらには直接の電話予約まで、あらゆる窓口からの予約情報をまとめて管理することが可能です。

この機能により、予約情報の見落としやダブルブッキングを防ぎ、スムーズな顧客対応を実現します。

また、予約データを活用することで、予約が集中しやすい時間帯や、人気の施術メニューも把握しやすくなります。結果、効率的なシフト調整だけでなく、サロン運営全体の改善にも役立ちます。予約管理とシフト調整を組み合わせることで、人件費の削減と顧客満足度の向上を同時に実現できます。

予約を一元管理できる予約管理システム「かんざし」

会計ソフト「freee」との連携で経理作業を効率化

「サロエボ」は会計ソフト「freee」との連携が可能です。

「freee」を使えば、確定申告や経理に不慣れな方でも○×形式の質問に答えていくだけで、確定申告に必要な書類が自動的に作成されます。書類の作成から提出までをスマホひとつで完了できるので便利です。

さらに、レシートをスマホで撮影すると、金額や日付を自動で取り込む機能もあり、面倒な経費の入力作業を減らせます。取り込んだデータは、自動的に帳簿に反映されるので、経理の手間が大幅に減ります。

また、申請された経費をもとにして、予算の消化状況が可視化されるため、予算の使いすぎを防ぐこともできます。

「freee」との連携で、売上や経費の管理が簡単になるだけでなく、正確な帳簿作成やスムーズな確定申告が実現します。余計な手間を省き、施術やサービスに集中できる環境を作れるのが大きな魅力です。

関連記事:フリーランス美容師が知っておくべき確定申告の知識と効率化の方法

まとめ

美容室経営における経費管理の基本や、無駄を抑えつつ効率的に経費を削減する方法について詳しく解説してきました。美容室の経営では、正しい経費の把握と適切な管理で、無駄を省きながらお客様満足度を高められます。
ただし、経費として計上できるからといって使いすぎては意味がありません。利益を残すためには、経費を抑えることも忘れないようにしましょう。
また、「サロエボ」を活用することで、在庫や売上の管理、経費の記録がスムーズに進み、経理の手間も大幅に減らすことが可能になり、結果として経営全体の安定につながります。
まずは、今の経費や売上の状況を見直して、改善できるポイントを探してみてください。

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