デジタル化が進む現代でも、チラシは美容室の集客において効果が期待できる施策です。
しかし、単にチラシを配布するだけでは十分な効果は期待できません。配布時期や地域の選定、デザイン、そして配布方法など、戦略的なアプローチが必要です。
ここでは、美容室のチラシによる集客について、失敗しないための重要な注意点、集客力を高める具体的な方法、そして予約システムと組み合わせた効果的な活用方法を解説します。
チラシは今でも集客効果が見込める
チラシと聞くとひと昔前の施策という印象があるかもしれません。しかし、チラシは現在でも集客を見込める方法の一つとなっています。その理由は以下の3点です。
- 近隣エリアの新規顧客獲得に強い
- デジタルが苦手な客層を取り込める
- お客様の手元に残るからいつでも見返せる
それぞれの理由について解説します。
近隣エリアの新規顧客獲得に強い
美容室を選ぶとき、「自宅から近い」という条件を重視する人は少なくありません。株式会社リクルートホールディングスの調査によると、年代を問わず約62%の人が「よく利用するサロンは自宅近く」と回答しています。
参考:データブック|ホットペッパービューティーアカデミー
自宅の近くに美容室があれば、急に「髪を切りたい!」と思ったときに足を運びやすくなります。また、生活圏内にある美容室であれば、買い物のついでに立ち寄って空き時間を確認し、一度自宅に荷物を置いてから来店するといったことも可能です。
このように、気軽に通える環境があれば、新規顧客の獲得やリピートにもつながりやすくなります。
配布エリアを細かく絞り込めるというチラシの特長を活かし、店舗周辺に集中的に配布することで、通いやすい距離に住んでいる人に効率よく情報を発信できます。
デジタルが苦手な客層を取り込める
総務省の調査によると、20〜50代のスマホ利用率は約90%なのに対し、60代では78.3%、70代では49.4%となっています。スマホの普及に伴ってオンラインでの広告を出す美容室が増えていますが、それだけでは情報が届かない人がいるのも事実です。
参考:令和5年通信利用動向調査の結果(概要)|総務省
しかし、チラシであれば、スマホやPCに慣れていない人や所有していない人でも情報を確認できます。また、紙のチラシは大きな文字や目立つデザインで作れるので、視覚的にも分かりやすいのがメリットです。
このように、チラシはデジタルが苦手な人に向けて確実に情報を届けられる有効な集客手段です。オンライン広告だけでは取りこぼしてしまう顧客層にも情報を発信できるのは、チラシならではの強みといえるでしょう。
お客様の手元に残るからいつでも見返せる
チラシの大きな特長は、お客様の手元に残る可能性が高いことです。スマートフォンの広告やWebページは、一時的な表示で終わってしまい、記憶に残りにくいものです。一方チラシは、ポストから取り出すとき、整理するとき、処分を考えるときなど、何度も目にする機会があり、記憶に残る可能性が高くなります。
そのため、「髪を切りたい」と思ったときに、チラシで見た美容室を思い出してもらいやすくなります。また、家の中にチラシがあれば、家族の目に触れる機会も増えるため、情報が共有される可能性も高まります。
さらに、チラシにクーポンや割引情報を掲載することで、手元に長く保管されやすくなり、結果として集客効果が期待できます。
チラシ集客で失敗しないための注意点
美容室のチラシ集客を成功させるためには、以下のポイントに注意が必要です。
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- チラシにかかる費用と効果のバランスを考える
- すぐに高い反応率は期待できない
以下で詳しく解説します。
チラシにかかる費用と効果のバランスを考える
チラシを作成する際は、デザイン料、印刷費用、配布費用など、予想以上にコストがかかります。一般的な費用の目安は以下の通りです。
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- チラシ1000枚あたりの制作にかかるコストの目安
- デザイン料:2~40万円
- 印刷費用(A4サイズ):3,400~10,000円
- ポスティング費用:1枚あたり3~20円
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自作をすればデザイン料を抑えられます。しかし、素人っぽいデザインになると店舗の印象を下げてしまう場合もあるでしょう。
また、チラシは定期的な配布で効果を発揮するので、1回の配布にコストをかけすぎて継続的な実施が難しくなると、集客効果が十分に得られない可能性があります。
そのため、チラシの制作では「限られた予算でどれだけ効果を出せるか」を考えることが大切です。
すぐに高い反応率は期待できない
チラシは、一度の配布で大きな効果を期待するものではありません。同じエリアで定期的に配布をすることで、徐々に店舗の名前が浸透し認知度が高まってきます。結果、新規顧客の獲得が期待できます。
また、チラシを配布するエリアによって特性が異なるため、配布後はどれくらいの反響があったのかを確認することが大切です。チラシの内容や反応率を分析し、次回の配布に向けた改善を行うことで効果を高められます。
反響率とは?
チラシの反響率とは、配布したチラシの枚数に対して、実際に反応があった人数の割合を表す数値です。
計算方法は以下の通りです。
反響率 (%)= (来店した人数 ÷ 配布数) × 100
チラシを配布した場合の一般的な反響率は 「0.01~0.3%」 とされています。
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- 1,000枚配布 → 0.1~3人が反応
- 10,000枚配布 → 1~30人が反応
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※ただし、反響率は配布エリアやチラシの内容によって変動します。
チラシ配布を行う際は、反響率を意識しながら、配布エリアの選定や内容の改善を重ねることで、効果的な集客につなげられます。
美容室のチラシで集客力を高める方法9選
チラシの効果を最大限に引き出すための具体的な9の方法を紹介します。
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- サロンの強み・コンセプトを明確にする
- ターゲット層を絞り込む
- チラシ配布の目標設定と具体的な実施計画を立てる
- 伝わりやすい情報配置とレイアウトを心がける
- 配布方法に合わせたチラシサイズを選ぶ
- QRコードを活用してWebサイトやSNSに誘導させる
- イベントや季節に合わせて配布する
- 配布効果を可視化して改善につなげる
- デザイン・印刷はプロに任せる
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美容室の特徴やお客様のニーズを考慮しながら、最適な施策を見つけていきましょう。
サロンの強み・コンセプトを明確にする
チラシによる集客率を高めるには、まずサロンの強み・コンセプトを明確にすることが大切です。数ある美容室の中から選ばれるためには、「サロンならではの特徴」を分かりやすく伝えることが重要です。
お客様が求めるニーズは多様化しており、単に「カット・カラーができます」というだけでは、他のサロンとの差別化が難しくなっているからです。
例えば、お客様の頭の形や髪質、顔の形に合わせてスタイルを作る「骨格矯正カット」であったり、お客様の肌の色に合わせたカラーを選べるパーソナルカラー診断ができれば、他店との違いとしてアピールできます。こういった「こだわりの技術」を具体的に伝えることで、興味を持つお客さんが増えるでしょう。
ターゲット層を絞り込む
チラシを作る際は、誰に向けたチラシにするのかを決めることが大切です。集客を意識してすべての人に向けた内容にすると伝えたいことがぼやけてしまい、効果が下がる可能性があるためです。
例えば、20代女性に向けたチラシを作る場合、最新のヘアトレンドやSNSで話題のスタイルを前面に出したデザイン、カジュアルな言葉遣いが効果的です。一方で、40代以上の女性がターゲットなら、髪の悩みに寄り添う内容や上質なサロンケアの説明、落ち着いた色使いと読みやすいフォントが好まれます。
しかし、両方の要素を1枚のチラシに詰め込んでしまうと、デザインが中途半端になり、結果的にどの年代にも響かないチラシになる可能性が高くなります。
■ターゲット別デザインの例
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- 若年層(20~30代):おしゃれで流行を意識したデザイン、明るい色使い
- 中高年層(40代以上):シンプルで読みやすいフォント、落ち着いたトーン
- 女性向け:可愛らしく温かみのあるデザイン、柔らかな表現
- 男性向け:機能性を重視したデザイン、スタイリッシュな雰囲気
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また、ターゲット層を絞り込む場合は、チラシを配布するエリアにも意識する必要があります。若い層が多い駅周辺や大学近くでチラシを配布するのに、中高年層向けのデザインにすれば、集客効果は期待できません。
そのため、配布エリアの特性とターゲット層に合わせたデザインを選ぶことが、効果的な集客につながります。
チラシ配布の目標設定と具体的な実施計画を立てる
チラシを配布する際は、明確な目標設定を行うことが重要です。
チラシ集客の効果を上げるには、定期的な配布だけでなく反響を確認しながら改善する必要があるためです。
目標設定をしない状態でチラシを配布すれば、配布後の評価が「良かった」「悪かった」という感覚的な判断で終わりがちです。
しかし、具体的な目標があれば、今回の配布が目標に対して達成したのか未達成だったのかが判断でき、原因を明確に分析することで、次回の配布に向けた具体的な改善につなげられます。また、配布の度に分析したデータが蓄積されるため、大きな下ブレを抑える効果も期待できます。
なお、チラシの効果を分析する場合、POSシステムや予約システムを使うと便利です。チラシにクーポンコードを設定しておけば、チラシから来店したのかが自動で集計されます。
伝わりやすい情報配置とレイアウトを心がける
チラシを見た人は、4~10秒で読むかどうかを決めると言われています。そのため、「情報が多すぎる」「整理されていない」と感じられるデザインでは、読まれない可能性が高くなります。
チラシで大切なのは、必要な情報を見やすく伝えることです。
チラシを作るのはコストがかかるため、なるべく多くの情報を入れたいと思ってしまいますが、必要な情報に絞り、シンプルにまとめることが大切です。
配布方法に合わせたチラシサイズを選ぶ
チラシのサイズは、配布方法に合ったものを選ぶことが大切です。たとえば、ポスティングではA4サイズが一般的です。A4サイズのチラシは、ポストにきれいに入るサイズであり、二つ折りにして配布することもできます。また、情報量も多く載せられるので、美容室の特徴を十分に伝えられます。
一方、路上で手配りをする場合は、コンパクトさが重要です。A4サイズだと受け取った人が持ち歩きづらく、その場で捨てられてしまう可能性が高くなります。
A5やB6サイズであれば、受け取った人がカバンやポケットにしまいやすいというメリットがあります。
このように、配布する方法に合わせてチラシのサイズを選ぶことで、チラシの集客効果を高められます。
QRコードを活用してWebサイトやSNSに誘導させる
チラシの集客力を高めるには、SNSや公式LINE、予約サイトのQRコードを記載するのも効果的です。
例えば、インスタグラムにアクセスすることで、施術や店舗、美容師を紹介する動画や画像を確認できるため、チラシだけでは伝えきれない店舗の魅力を知ってもらうきっかけになります。
また、公式LINEアカウントではキャンペーン情報やクーポンを配信できるので、来店のきっかけを作りやすくなります。
さらに、インスタグラムや公式LINEアカウントでは、予約管理システムとの連携で予約ページの作成が可能です。そのため、お客様はその場でスマホから空き状況を確認し、好きな日時を選んで予約できます。
このように、QRコードを取り入れることで、チラシを見たお客様をオンラインの情報へ自然に誘導し、実際の来店につなげやすくなります。
イベントや季節に合わせて配布する
人生の節目となる入学式や卒業式、就職活動などの時期に合わせたチラシ配布は、高い効果が期待できます。
チラシの配布では、この時期ならではの特別感を出すことが大切です。
例えば、「卒業式・入学式特別ヘアセットプラン」や「春の新生活応援キャンペーン」といった、時期に合わせた特別なプランを提案すると、お客様に興味を持ってもらえるでしょう。
また、季節の変わり目も、ヘアスタイルの変更を考える人が多い時期です。そのため、「春の艶髪キャンペーン」や「夏のダメージケアメニュー」など、季節に応じたヘアケアの提案も効果的です。お客様の気持ちに寄り添ったタイミングでチラシを配布することで、来店のきっかけを作りやすくなります。
配布効果を可視化して改善につなげる
チラシを配布したら、どれだけ反響があったかを確認し、次回に活かすことが重要です。
効果の高かったエリアや時間帯、内容などを把握することで、次回の配布をより効率的に計画できます。
効果測定を効率的に行うには、クーポンコードやQRコードの活用がおすすめです。チラシごとに異なるクーポンコードを設定したり、QRコードから予約サイトに誘導したりすることで、反響を分かりやすく数値化できます。
さらに、売上管理や予約管理を一括で行えるPOSシステムの活用もおすすめです。来店データや予約状況、売上情報をまとめて確認できるため、業務の負担を増やすことなく配布効果を確認できます。チラシを見て来店したお客様のデータも簡単に集計できるため、分析を効率よく行えます。
デザイン・印刷はプロに任せる
チラシのデザインや印刷は、プロのデザイナーや印刷会社に依頼しましょう。
美容室のチラシは、デザインがそのままサロンの雰囲気を伝えるものになります。フリーのデザインソフトを使えばコストを抑えられますが、文字の詰め込みすぎや不調和な色使いで手作り感が出てしまうと、サロンのイメージが低下し、機会損失につながりかねません。
コストを抑えるなら、デザインだけをプロに依頼し、印刷は費用の安い別会社に依頼するといった工夫もできます。プロならではの視点を活かすことで、サロンの特徴が効果的に伝わるチラシを作成しましょう。
「かんざし」とチラシの連携で集客力アップ
美容室のチラシにSNSのQRコードを載せることで、サロンの雰囲気の確認から予約までの導線を作れます。ただし、LINE公式アカウントやインスタグラムといったSNSの予約機能は単体で利用できないことが多く、予約管理システムとの連携が必要です。
そこでおすすめなのが、サロン・美容業界に特化した予約管理システム「かんざし」です。
かんざしは、LINE公式アカウントやインスタグラム、Googleでの予約、予約ポータルサイトなど、複数の予約チャネルに対応しています。
また、すべての予約を一つの管理画面で簡単に管理でき、予約の受付から変更、キャンセルまでの情報がリアルタイムで反映されるため、ダブルブッキングのリスクも防げます。かんざしを活用することで、効率的な予約管理と集客力アップを同時に実現できます。
サロエボとの連携でチラシ効果を可視化
チラシの効果を最大限に活用するには、配布後の反響を正確に把握し、次の施策に活かすことが重要です。それには、効果測定と分析を行う必要がありますが、効率的に行うなら、POSシステム「サロエボ」がおすすめです。
「サロエボ」の主な特徴は以下の通りです。
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- 来店履歴、売上データ、利用メニューなどの情報を一元管理
- 視覚的に分かりやすいグラフやレポートで分析結果を表示
- エリアごとのチラシ反響率や新規顧客の利用状況を簡単に確認可能
- スタッフごとの売上データもリアルタイムで把握
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「サロエボ」は予約管理システム「かんざし」と連携することで、予約情報と、売上データが自動的に紐づけられるため、予約から来店、売上までの一連の流れを追跡できます。
例えば、LINE、インスタグラム、Googleなど、それぞれの予約経路からの来店率を正確に把握できます。また、チラシをきっかけに来店した新規のお客様が、どの程度リピーターとして定着しているかも分析が可能です。
さらに、実施したキャンペーンやクーポンの効果を数値で確認できるため、効果的な施策の実施につながります。
このように、「サロエボ」と「かんざし」を組み合わせることで、チラシ施策の効果を正確に測定し、継続的な改善につなげられます。
サロン特化型のPOSシステム「サロエボ」
まとめ
チラシの集客力を高めるには、お客様がメリットを実感できる内容にすることが大切です。
費用をかけてデザイン性の高いチラシを作成しても、受け取った人に響かなければ、集客につながりにくくなります。
そのため、チラシではお客様がどのような悩みを抱えていて、サロンがどのように解決できるのかをわかりやすく伝える必要があります。
また、チラシから実際の来店までの流れをスムーズにすることも大切です。特にSNSのQRコードを掲載し、そこから直接予約ができる仕組みを整えることで、来店につながりやすくなります。
SNSからの予約と予約情報の連携には「かんざし」がおすすめです。
かんざしはLINE、インスタグラム、Googleといった主要なSNSやWebサービスとの連携ができるため、予約のチャンスを増やせます。また、POSシステムとの連携により売上データも一元管理できるため、チラシの効果測定と改善の精度を高められます。
チラシ集客を検討している、またはチラシの効果を高めたいとお考えの美容室オーナー様は、ぜひこの機会にお問い合わせください。