美容師として働きながら「独立して自分の店を開業したい」と考えている人は多いのではないでしょうか。
美容師の独立には店舗探しや資金調達なども必要なので、きちんと開業の手順を理解しておかないと想定より下準備に時間がかかり、開業予定が遅れる可能性が高まります。
この記事では、美容師の独立に必要な知識や手順、失敗しない為のポイントを紹介します。
独立を考えている方や、今後独立するか迷っている方はぜひお読みください。
美容師の独立で手に入る3つのメリット
美容師として雇われて働いていると「もっと自由に働きたい」と思うことはないでしょうか。
美容師の独立は、自分の理想に沿った働き方が可能になるので、仕事に対するモチベーションや生活の充実度がアップします。
ここでは、美容師が独立することで手に入るメリットを3つ紹介します。
高い収益性を実現
雇われている美容師の年収は、300万台前半が多いと言われており、他の業種と比べても高収入とは言いにくい職業です。
しかし、美容師は1人でも店舗を構えやすい職業です。
独立した場合の平均年収は400万を超えると言われており、雇われている時よりも年収が上がる可能性があるので、給料が低いと悩んでいる方は独立を目指してみてもいいかもしれません。
オリジナルのサロンづくり
自分で理想の美容室を開業することが目標で美容師を目指した人もいるでしょう。
サロンを一から作り上げることは、独立するからこそできる楽しみのひとつです。
自分の好みに合わせてインテリアを整えることができたり、美容師として働いてきた経験を活かしたサービスを提供できるようになります。
柔軟な働き方
美容師は独立すると、自分で定休日や営業時間を決めることができるので、柔軟な働き方が可能になります。
例えば、美容室は月曜や火曜の定休日が多いですが、定休日を他の曜日に設定することで新たな客層を獲得できるというメリットがあります。どうしても休みたい日は臨時休業にするなど、雇われていては出来なかった働き方ができることもメリットです。
プライベートの時間を充実させることや、子育て・介護などの時間を確保したい方にとっても、柔軟な働き方は魅力的です。
美容師の独立に必要な知識・スキル
美容室を運営するために、必要な知識やスキルを4つ紹介します。
美容師の資格
美容師免許は、高等学校を卒業後に美容師養成施設で最低2年間必要な学科・実習を修了した後、美容師試験に合格した人が得られる資格です。
一人で店舗経営をするなら美容師免許のみで良いですが、アシスタントを雇う場合は管理美容師免許が必要です。
管理美容師免許は、美容師として実務経験が3年以上の者で、都道府県知事が指定した講習会を修了することで得られます。
講習科目は公衆衛生(4時間)と理容所・美容所の衛生管理(14時間)という内容です。
講習会は各都道府県で日にちが指定されており、3日程度の受講が必要です。
顧客満足度を高める技術力と接客力
美容師の技術力は、資格を取ってすぐに得るのは難しいので、自主練やアシスタント期間を重ねて取得しましょう。
技術や接客スキルがないまま独立すると、口コミやSNSでマイナスの評価をされてしまうかもしれません。
多くのお客様を担当することで、さまざまな技術や個々のお客様に合わせた接客スキルを磨くことができます。
また、接客では先輩の対応を見て学ぶことが重要です。時には失敗した経験も役立つかもしれません。
美容師として高い技術力と接客力を得るために、独立する前に約10年程度は他の美容室で経験を積むことがおすすめです。
新規顧客の獲得につなげる戦略
独立する場合、前に勤めていた美容室のお客様が継続して通ってくれることもありますが、新規顧客の獲得は今後の成長の為に欠かせません。
新規顧客の獲得には、店舗をまだ知らない人たちへのアピールが効果的です。
SNSの活用や広告・宣伝など、美容師としての技術とは別に経営戦略やマーケティングの知識も必要です。
自分一人では経営戦略からマーケティングまで上手くできないかもしれないと不安な方は、専門のコンサルタントに相談することも検討してみましょう。
会計や労務管理などの経営知識
美容室を運営していくなら、経営知識も学ぶ必要があります。
雇われていた時とは異なり、利益率や税金なども考慮してメニューの価格設定を行わなければなりません。
税金の滞納や労務管理などは「知らなかった」「分からない」では済まされないこともあるので、基本的な知識は学びましょう。
難しくて手に負えないと感じる場合は、税理士や社労士などに相談するのも良いかもしれません。
関連記事:フリーランス美容師が知っておくべき確定申告の知識と効率化の方法
美容室独立に向けた4つのステップ
美容室を新規開店する為には下準備が必要です。順番に沿って一つずつ行うことが新規開店への近道です。
具体的に準備する必要がある項目を4つ紹介します。
事業計画の作成
事業計画とは、どのように事業を運営し収益を得ていくのかを計画することです。
自分で思い描いているプランが実現できるかどうかの試算や、外部の人にも事業の内容を理解してもらう為にも作成しましょう。
また、融資を受ける際には必要です。
美容室の事業計画には下記のような項目を盛り込むと良いでしょう。
美容室の事業計画項目例
- 美容室のコンセプト
- 従業員の人数
- 自分の強みや経歴
- ターゲット層
- 近隣の競合
- 目指しているビジネスモデル
- 財務計画
収益やコストなども計算し、事業が行えることを事業計画で提示します。
事業計画を細かく作ることで、相手に計画性があることが伝わり信頼が得られやすくなります。
開業資金の算出と調達方法の検討
開業資金にどれくらいお金が必要なのかを計算してみましょう。
店舗の規模や出店したいエリアによって家賃などは大きく変わります。
インテリアや業務用の理美容用品も、自分好みの物はどれくらいの価格なのか調べてみましょう。
美容室の開業は200万程度で収まる場合もありますが、一般的には1000万程度かかると言われており、自己資金のみで開業するのは大変です。
開業の際には日本政策金融公庫などから融資が受けられることがあるので、上手く利用して独立を目指しましょう。
店舗物件の選定と備品の準備
美容室の店舗物件は、選んだ物件で集客や内装を左右することもあるので、慎重に選びましょう。
賃貸物件は、スケルトンか居抜きかでコストが変わります。
スケルトン | 店舗内がコンクリートむき出し状態の物件。 コストはかかるが、内装を自由に作れるメリットがある。 |
居抜き | 前入居者の内装や設備が残っている物件。 必要な部分のみ変えれば良いので、内装にかかるコストを抑えることができる。 |
どちらが良いかは、美容室のコンセプトや居抜きなら前入居者の業態で変わってきます。
物件は立地などによって種類が多様なので、美容室のコンセプトに合った物件はどれか検討しましょう。
ここでは、美容室に適した物件の種類と必要な備品を解説します。
店舗物件の種類
ビルイン型
ビルのワンフロアや一室にある店舗です。
1Fの場合は路面店と呼ばれるので、2F以上の店舗を指すことが多いです。
駅前や繁華街など人が多く集まる場所にはビルイン型の店舗がよくあります。
立地が良い場所は、集客もしやすいですが賃料も高くなります。
また、近くに競合が多いことや、後から新規で美容室が開業する可能性も高いです。
路面店
路面に面したビル1Fの店舗です。
駅前や大通り沿いであれば多くの人が店舗前を通ることになるので、人目に付きやすく集客が見込めることが魅力です。
飛び込みの来店や、店舗の雰囲気が伝わりやすいのでお客様も入りやすいといったメリットがあります。
ただ、路面から内部が見え過ぎると気になるお客様もいますし、外から常に見られることを想定した外装が必要なので、工事費はビルイン型よりも高くなる傾向があります。
ロードサイド型
大通りに面した独立型の店舗です。
敷地面積が広めにとれることが特徴で、郊外などに多く見られます。
車などで来店することを想定しており、駐車場を完備している所が多いです。
賃料も郊外であれば安めに借りることができるでしょう。
ただ、駅前からは距離があることも多いので、徒歩での来客は少なくなります。
交通の利便性ではやや劣ります。
商業施設型
デパートやショッピングモールなどの商業施設に入っている店舗です。
商業施設に合わせた営業時間や休業日など制約があるのでオーナー個人の自由度は下がります。
しかし、商業施設を運営している企業が、各テナントの広告も行ってくれるというメリットがあります。
商業施設に来店する客層はある程度予測できるので、集客のためにニーズに合わせた店舗作りが必要です。
必要な備品
美容室に必要な備品はたくさんあるので、リストを作って忘れないように準備しましょう。
下記のような項目が美容室に必要な備品です。
- 大型の設備
(レジカウンター、シャンプー台、施術椅子、鏡など) - 電子機器
(エアコン、電話機、洗濯機など) - インテリア
(照明、観葉植物、ハンガーラックなど) - 施術に使う消耗品
(カラー剤、シャンプー類、イヤーキャップなど) - 店舗で必要な消耗品
(トイレットペーパー、雑誌、電球など)
美容室のコンセプトに沿ったものを揃えると意外とお金がかかります。
予算内で抑えられるように、リースやアウトレットなども活用しながら揃えるのも一つの方法です。
各種届出や許可申請の手続き
美容室の開業には手続きが必要です。
各方面に申請や、場合によっては立ち会いが必要ですので余裕をもって行いましょう。
手続き先 | 申請書 | 特徴 |
保健所 | 美容所開設届 |
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消防署 | 防火対象物使用開始届出書
防火対象物工事等計画届出書 |
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税務署 | 開業届 |
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都道府県税事務所 | 事業開始等申告書 |
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上記の手続きは、店舗の管轄内にある手続き先に申請する必要があります。
申請書の書類などは、管轄の都道府県や市区町村のホームページからダウンロードできますのでご確認ください。
独立時に失敗しないためのポイント
美容室は競争の激しい業界です。
開業後に失敗しないための大事なポイントを紹介します。
物件探しがとにかく大変
美容室の物件探しは、すぐに見つかると軽視していると、物件選びに時間がかかる場合もあり、予想より開業が大幅に遅れる可能性があります。
美容室は不特定多数が出入りするので、マンションの一室を借りたい場合はセキュリティ面からの理由で不可物件も多いので注意が必要です。
しかし、美容室の物件選びは事業の成功に直接影響する重要な要素なので、妥協せずに選びたいものです。
美容室の物件を選ぶ際にチェックしておきたい内容は3つです。
前店舗の閉店理由を知っておく
前の店舗が閉店した理由は、自分の店舗でもデメリットとなる可能性があるので注意しましょう。
例えば、「人通りが少ない」や「家賃が高すぎる」などは美容室の経営にも影響があるかもしれません。
影響が無さそうなのは「立地と店舗業態がマッチしなかった」「店舗の拡大移転」などの理由です。
ガス・水道のインフラを確認する
水道が使えない物件は少ないですが、ガスが都市ガスでない物件は意外とあります。
都市ガスが通っていない場合は、プロパンガスにするか、ガス工事が必要になり追加の初期費用が必要です。
長い目で見ると、プロパンガスよりも都市ガスの方が料金が安い傾向にあるので、都市ガスの物件は人気があります。
初期費用が払えるなら都市ガスの利用を検討してみましょう。
同業種の店舗をチェック
良いビルを見つけても、すでに美容室が入っている場合、同業種はNGな物件も多いので注意しましょう。NGな理由は、お客の取り合いのような状況を避ける為だと言われています。
近隣に似た雰囲気の美容室が既にある場合や、店名が似た店舗が存在することもあるので、実際に自分で訪れて確認してみると良いでしょう。
金融機関から融資してもらう時の注意点
融資の審査は返済能力と事業計画が見通せることが重要です。
過去に消費者金融からの借り入れ滞納や税金の滞納履歴などが無いかも見ており、信用情報に傷があると審査が通らない場合があります。
融資の審査を通過する為にも、日頃の生活でも支払いを滞納しないように気を付けましょう。
また、事業計画を見て立地と集客が見合っておらず、あきらかに売上が望めそうにない場合も審査が通らないことがあります。
さらに実際の面接で応対や人柄に問題があると判断された場合には、事業計画書を再提出しても通らない可能性が高いです。
融資は誰でも審査が通るものではないことを理解しておきましょう。
人材確保が難しい
美容師が3年以内に離職する確率は56%とも言われており、全職種の離職率30%と比べると高いと言えます。
離職率が高いのは、労働時間が長いことや低賃金が理由なことも多く、労働者の理想と現実がマッチしていない状態です。
アシスタントを雇う場合は、長い時間一緒に働く仲間として、相手にとっても働きやすい環境を整えましょう。
また、コミュニケーション能力が高い人や成長する努力を惜しまない人を選ぶと長続きしやすいかもしれません。
1人のアシスタントに頼りすぎてしまうと居なくなった時に困った事態に陥る可能性があるので、アシスタントが居なくなった場合のリスク管理もしておきましょう。
『サロエボ+かんざし』の導入で美容室の運営をスマートに
美容室の予約は、様々なサービス媒体からの予約ができますが、電話予約も含めると管理は大変です。
しかし、予約を効率的に管理できれば、予約数の増加と売上アップにつながります。
美容室の予約は「かんざし」を活用した一元管理がおすすめです。
また、美容室の運営には売上管理や顧客管理、販促力など経営のスキルも必要です。
POSシステム「サロエボ」は、売上の集計からLINEと連携した販促まで運営に関わる業務を一元管理することができます。
ここでは、美容室の運営で役立つ機能をシステムとともに4つ紹介します。
売上や顧客情報の連動で管理業務を削減
美容室の管理業務は、売上・顧客情報・スタッフのシフト・備品の在庫管理など多岐にわたります。
全て異なるツールで管理しようと思うと、ミスの発生や想像より時間を取られる可能性があるので、一元化できるシステムの導入がおすすめです。
「サロエボ」は、店舗のリアルタイム売上や、月間の売上、店舗ごとの売上などを自動で集計してくれます。
また、スタッフのシフトや受付状況も瞬時に確認できます。
さらに、CTI機能との連動で、お店にお客様から電話がかかってくるとPOSシステムにお客様の詳細情報を自動的に表示させることも可能です。
また、電子カルテと連動することで予約画面からカルテの内容も確認できるので、業務効率がアップします。
キャッシュレス対応で顧客満足度と集客力アップ
現金よりもキャッシュレス決済の方が使いやすいという方も多く、決済方法を選べた方がお客様は美容室を利用しやすいというメリットがあります。
さらに、店舗側も現金のやり取りによる人的ミスが防げるというメリットを得られます。
「サロエボ」のPOSシステムはキャッシュレス決済も行えます。
クレジットカードやQRコード決済の他にも、接触ICクレジットカード、FeliCa系電子マネー、タッチ決済などに対応しています。
現金会計は自動釣銭機と連動しているので、釣銭ミスが減らせてストレスフリーです。
データ分析に基づく経営改善と戦略立案
美容室を経営するなら、お客様のデータ分析や売上戦略も必要です。
データ分析はある程度の情報や知識が無いと難しい場合も多く、個人でやろうと思うと面倒な作業と感じるかもしれません。
「サロエボ」なら、簡単にお客様の情報を分析して販促につなげる機能があります。
例えば、お客様が美容室に来店するサイクルを3ヶ月間隔から2ヶ月間隔に短縮させることで、売上の増加に繋げたいという戦略を立てたとします。
「サロエボ」を利用して、いつもは3ヶ月周期のお客様をリストアップし、来店後2ヶ月でメール配信を行い来店を促すといった使い方ができます。
「サロエボ」はPOSシステムレジと連動してデータ分析なども行える便利なシステムです。
予約管理の一元化でダブルブッキング防止と業務効率化
美容室の予約は、様々なサイトでの予約受付が行えると、多くの人にアピールができるので予約も増加します。
また、ネットなど24時間予約を取り入れることで、営業時間外や休業日に「美容室に行きたい」と思ったお客様の来店機会を逃しません。
しかし、予約方法の種類が増えると管理が大変になり、ダブルブッキングが発生してしまうおそれがあります。
予約の一元管理ができればダブルブッキングの心配が無く、可能な限り多くの予約を取ることが可能です。
「かんざし」の予約システムは、ホットペッパーなどの各種予約サイト、アプリ、電話など様々な経路から入ってくる予約情報を一元管理できます。
さらに、店舗の営業日やスタッフのシフトなど、予約受付可能なスケジュールを一括で登録できるので、指名予約の管理なども簡単です。
まとめ
美容師の独立には、カットの技術や接客スキルだけでなく、経営の知識や戦略も必要です。
開業するまでには各所に届け出が必須ですし、店舗の物件探しにはエリアや種類があるので、意外と時間がかかるかもしれません。
雇われていた時には行わなかった利益率や税金などの計算も行い、美容室を運営していく必要があります。適当な計画では融資は受けられませんし、経営が破綻してしまい閉店に追い込まれる可能性もあります。
美容室の運営では、売上の計算や予約管理などをデジタル化して効率的な方法を上手く取り入れることで、事務的な業務の負担を減らすことができます。
デジタル化した情報は、店舗のデータ分析や販促にも使えるので一石二鳥です。
美容室の運営業務を一元管理できるPOSシステムや予約の一元管理に興味のある方は、ぜひサロエボとかんざしをご活用ください。