働き方の多様化が進む昨今では、美容室に就職し従業員として働くのではなく、フリーランランス美容師として働くという選択をする人も増えています。
そこで注目されているのが「面貸し」というビジネスモデルです。
この記事では、面貸しとは何か、面貸しの報酬体系、面貸しで働くときの注意点、面貸しで安定した経営を実現するための方法をご紹介します。
フリーランスの美容師として独立して仕事をしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
「面貸し」とは?
面貸しとは、美容室の一部をフリーランスの美容師に貸し出し、歩合制・月額制・時間制のいずれかの形で対価を得るビジネスモデルです。
美容室オーナーにとっては空席を有効活用でき、店舗の予約がなくても収入を得られるというメリットがあります。フリーランス美容師にとっても、面貸しを利用することで初期費用を抑えて独立できるのがメリットです。
近年、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSを活用することで、美容師が個人でスキルを広く発信できるようになりました。その結果、従来は難しかった個人でのブランディングや集客が可能になったことでフリーランスとして活躍できる機会が増えています。
それにともない面貸しも拡大しており、店全体が面貸しという美容室があるほど業界に影響を与えています。
店舗を持たずに独立ができる
面貸しを利用すれば、店舗を持たずに独立ができます。
美容師が独立開業する際に最も大きな問題となるのが、開業資金です。店舗を構えるには、物件契約の費用や設備代、従業員の人件費などまとまった資金が必要になります。
開業資金の調達に成功し、自分の美容室を持てたとしても、新規顧客・リピーターを獲得し続けなければ美容室の経営が安定しません。
一方、面貸しなら開業に必要な初期費用や店舗・設備の維持費用を気にする必要がなくなるため、お金に関するリスクを減らして独立できます。
集客についても、SNSを活用することで「個人の集客」が十分可能になっています。面貸しで自分のブランド力を高めていけば、将来的に店舗を構えたときの集客につながるため、安定した独立開業ができます。
時間に縛られず柔軟な働き方ができる
面貸しなら、時間に縛られずに柔軟な働き方ができます。
個人事業主として働くため、営業時間や営業日、サービスの内容・価格などは全て自分で決めることができ、自分のライフスタイルに合わせて比較的自由に働けます。
施術をするのはお客様からの予約がある時間帯のみです。業務のスケジュールが立てやすく、イレギュラーが発生しにくいため、ストレスの少ない環境で仕事ができます。
美容室のオーナーに雇われて働く場合は、フリーランスのように自由には働けません。
店舗の運営が第一になりますので、勤務時間や出勤日は店舗の営業に合わせます。他の従業員との兼ね合いもあるため、希望のシフトが通らないケースもあります。
特に美容室のようなサービス業は、土日や祝日でも営業することが多く、カレンダー通りに休めない場合も多いです。
自由に働き、自分のスタイルに合わせたビジネスを展開できることは面貸しの大きな魅力のひとつです。
面貸しと業務委託との違い
面貸しとよく比較される働き方が「業務委託」です。
面貸しも業務委託も「個人事業主」であり、美容室と契約を結んで働くという点は共通していますが、契約内容に大きな違いがあります。
面貸しの場合は、美容室の一部を借りる契約をし、フリーランスの美容師が独立して営業するビジネスモデルです。営業時間や営業日、施術の内容、価格設定は美容師自身が自由に設定できるかわりに、集客も美容師が個人で行うのが特徴になります。
売上は全て美容師の収入になりますが、歩合制、月額制、時間制のいずれかの形で、美容室のスペースを借りる対価を支払う必要があります。
一方、業務委託の場合は美容室のオーナーと業務委託契約を結び、美容室の業務の一部を受託し、オーナーの指示のもとで働くビジネスモデルです。
個人事業主ではありますが、美容室の従業員の一人として働くため、個人で集客する必要はなく、売上の一部を業務委託の報酬としてもらうのが基本になります。
面貸しの報酬体系
面貸しの報酬体系は、歩合制、月額制、時間制の3つが基本です。
報酬体系によっては「想定よりも収入が少ない」ということが起こり得ます。収入を安定させるためにも、それぞれの特徴を把握して適切な契約を結べるようにしましょう。
報酬体系の特徴と料金の相場について解説しますので、集客力や売上を考慮してどの契約が適しているかを判断してください。
歩合制:売上から一定の割合を美容室に支払う
歩合制は、自分の売上から契約で決められた一定の割合を美容室のオーナーに支払う方法です。歩合の相場は美容室によって異なりますが、30~50%が目安になります。
売上の一部を支払う契約であるため、場所代だけで考えれば1回の施術が黒字になる可能性が高くなります。フリーランスになりたてで売上が不安定な時期には安心です。
収入計算が施術単位になるため、時間効率を気にせずお客様対応に注力できるのもポイントになります。
月額制:毎月決まった費用を美容室に支払う
月額制は、売上に関わらず毎月決まった費用を美容室オーナーに支払ってスペースを借りる契約です。
支払い金額の相場は立地条件や店舗によって異なりますが、東京であれば1ヶ月20~30万円前後が目安です。美容室を借りる費用が毎月定額になるため、売上が高くなるほど自分の収入が高くなるのがメリットです。また、毎月の固定費が一定になるため、事業計画が立てやすくなります。
一方で、月間の売上が低ければ金銭的な負担が大きくなります。売上金額によっては赤字になることも考えられますので、独立直後など売上が不安定な時期は月額制を避け、経営が安定してから検討するのが良いでしょう。
時間制:利用した時間に応じた費用を美容室に支払う
時間制は、美容室を利用した時間に応じてレンタル料を美容室に支払う契約です。費用の相場は1,500~2,000円が目安になります。
客単価と施術の時間効率が高いほど美容師の収入も高くなるため、高単価のメニューを効率良く施術ができる美容師であれば、有利な契約になります。
カラーやパーマなど、施術に時間のかかるメニューについては、しっかりと考えた上で料金設定をしないと利益が出なくなりますので注意が必要です。
面貸しで働くときの注意点
面貸しで働くフリーランスの美容師には、様々なメリットがありますが、同時に注意しなければならないこともいくつか発生します。
面貸しの注意点は以下のとおりです。
- 収入が不安定になりやすい
- 施術以外の業務負担が増える
- 希望の時間帯に施術スペースが確保できない
フリーランスは雇われ従業員と違い、良いことも悪いこともすべて自己責任になります。そのため、注意点を把握し対応策を考えておきましょう。
収入が不安定になりやすい
美容室の従業員は給料制で収入を得るのが一般的であるため、美容室や自分の売上が悪い場合でも、一定額の収入が保証されます。
しかし、面貸しで働く美容師は、お客様が居なければ収入になりません。自分で集客し経費以上の売上を作らなければ赤字となります。赤字が続けば生活ができないため、個人事業主として働き続けるのが難しくなります。
もちろん、たくさんのお客様が自分を指名し予約してくれればフリーランスの方が収入は高くなりますので、自分の実力、集客力、固定客を鑑みて独立を判断しましょう。
施術以外の業務負担が増える
面貸しは美容室のスペースを借りて仕事をするビジネスです。美容室からのサポートは受けられないため、集客、予約管理、経理業務、売上管理、備品管理など、経営に必要な業務をすべてひとりで行わなければなりません。
そのため、雇われている美容師と比較すると施術以外の業務負担が大きくなります。知識がないまま独立すれば、いずれは経営が行き詰まる可能性が高くなります。
接客や施術にかける時間が減れば売上の維持が難しくなるため、経営に関する知識もしっかりと習得し、ある程度の固定客がついてから独立するのが良いでしょう。
希望の時間帯に施術スペースが確保できない
面貸し特有の注意点として、希望の時間帯に施術スペースが確保できないことが挙げられます。
予約が入っても、美容室の状況によってはお客様が希望する時間に施術を入れられないリスクがあります。施術スペースを確保するには、複数の美容室と面貸しの契約をするなどの対策が必要です。
施術記録を個人で管理する必要がある
リピーター獲得やお客様満足度の向上に欠かせないのが施術記録です。過去の施術履歴があることで、お客様に合わせた施術の提案や販促などができるため、売上アップにつながります。
フリーランス美容師は、施術記録を自分で記録を管理しなければなりません。
契約している美容室が施術記録を管理するシステムを導入していても、フリーランスの場合はシステムを使用できません。自身で台帳を管理するか、システムを導入する必要があります。
面貸しで安定した経営を実現する方法
面貸しで働くフリーランスの美容師は、施術以外の業務をいかに効率化するかが安定した経営をするためのポイントです。
施術以外の業務にかかる時間を圧縮できれば、施術に集中できる環境が作れます。結果、お客様の満足度は向上し、安定した集客が実現できます。また、美容師も様々な作業に追われるというストレスを減らすことが可能です。
顧客情報の管理を最適化する
面貸しで安定した経営を実現させるためには、顧客情報の管理を最適化する必要があります。
以下は管理すべき顧客情報です。
- 氏名
- 年齢
- 住所
- 来店履歴
- 施術履歴
顧客情報は、お客様との信頼関係構築や、適切なサービスの提案、キャンペーンなどの販促をするのに欠かせません。お客様の情報を常に最新の状態に保つこと、必要な情報をすぐに見れるようにすることは管理の必須事項になります。
また、顧客情報は個人情報を含むため、美容室の従業員だけではなく複数のフリーランス美容師が出入りする面貸し美容室では、特にセキュリティに気をつけなければなりません。
紙ベースで顧客管理をするのは、情報を最新に保つ手間や情報を探す手間がかかり、セキュリティ面でも問題があります。
そのため、多少のコストがかかっても電子システムを使って顧客情報を管理しましょう。お客様が増えてからシステムを導入すると顧客情報の移行に手間がかかるため、開業時から電子システムを準備するのがおすすめです。
複数の予約チャネルの導入と一元管理
フリーランスの美容師として事業を安定させるには、複数の予約チャネルの導入とその予約を一元管理するシステムが必要です。
基本的に、予約チャネルを増やして予約の窓口を広げれば、自分の情報がお客様の目に触れる機会が増えるため、予約数は増える傾向があります。
しかし、予約の窓口が多くなれば管理が煩雑になり、予約管理作業の時間も増え負担が大きくなってしまうため、アナログの管理は現実的ではありません。
この場合は、より多くのポータルサイト、Webサイト、SNSと連動し、複数の窓口からの予約をすべて一元管理できる電子システムを導入するのがおすすめです。
面貸し美容室が予約に電子システムを使っていて、契約には自分もシステム導入が必須というケースもありますので、必要なコストとして計算しましょう。
経営に関わる業務の効率化
個人事業主として働くのであれば、経営に関する数値の把握と売上向上のための対策は必須です。事業を継続していくには、経営戦略を立てる時間を確保しなければなりません。
そのためには、データの集計・整理をして分析をする必要がありますが、日々の施術をこなしながら数字を追いかけるのは簡単ではありません。
しかし、電子システムを導入すれば、データの集計・整理が自動で行われます。分析に必要なデータがすぐに確認できるため、現状の把握や経営戦略が立てやすくなります。
システムによっては、自分が思いつかない切り口で経営に関する情報を提供してくれるケースもありますので、複数のシステムを比較して事業経営に最適なシステムを導入しましょう。
「かんざし」で面貸しの予約業務を効率化
フリーランス美容師として面貸しで独立開業を検討している人は、予約管理システム「かんざし」を導入するのがおすすめです。
フリーランスの美容師は、施術だけではなく、集客、予約管理、経理業務、備品管理など、たくさんの業務をひとりでこなさなければなりません。その中でも予約管理は、手間がかかりやすい業務です。
「かんざし」は複数のWebサイトからの予約を自動で管理でき、業界トップクラスのお得な料金で利用できるので、独立したてのフリーランス美容師に最適な予約システムです。
他にも「かんざし」にどんな特徴があるのか、ご説明します。
予約の一元管理で複数の予約チャネルにも対応できる
「かんざし」は複数のポータルサイトやWebサイト、各種SNSなど幅広い予約チャネルに対応し、予約情報を一元管理できます。
これまでのインターネット予約管理の場合、予約情報を各チャネルに手動で反映しなければならず、作業に時間がかかっていました。また、手動での入力は予約ミスやダブルブッキングも起きやすく、トラブルにつながるケースもあります。
「かんざし」は複数の予約チャネルと連動可能で、予約を自動受付し、予約状況を連動しているすべてのチャネルに自動で反映してくれます。
自動システムなので予約管理の時間は不要になり、施術や他の業務に割く時間を増やせるのでフリーランス美容師にとって大きなメリットとなります。
電子カルテとの連携で顧客管理も安心
「かんざし」は電子カルテ「ビューティーパレット」との連携が可能です。電子カルテのメリットは、情報のデジタル化によってデータの検索・閲覧が迅速かつ簡単にできる点です。
また、紙ベースのカルテと違い、劣化や破損がありません。お客様が増えても、カルテの保管スペースの確保が不要です。紛失のリスクも少ないため、お客様の情報を安全に管理できます。
その中でもビューティーパレットは、文字や画像だけでなく、手書きでの書き込みが可能です。文字では説明が難しい感覚的な情報も記録できるので、お客様に関する情報をより具体的に残しておけます。
かんざしとビューティーパレットを連携すれば、予約情報からお客様のカルテ情報を確認できます。お客様に最適なサービスを提供しやすくなるため、お客様満足度の向上につながります。
POSシステムとの連動で経営を可視化できる
「かんざし」はPOSシステム「サロエボ」との連携が可能です。
POSとは「Point of Sale」の略称で、販売時点情報管理という意味です。POSシステムを導入することで、販売したサービスや商品が、いつ、いくらで、どれくらい売れたかといったデータの記録が可能です。売上管理や商品の在庫管理、お客様の購買履歴管理など経営に必要な情報の管理に役立ちます。
「サロエボ」は、顧客管理、決済、予約管理、カルテ登録などフリーランスとして働く美容師に必要な多くの機能を搭載しています。さらに、分析機能や業務データの収集も充実しているため、経営状況の把握や意思決定がスムーズに行えます。
また、サロエボはマルチデバイス対応のため、タブレットやスマートフォンからも利用可能です。インターネット環境さえあれば、店舗外からでも顧客情報の確認や管理ができるので、美容室での管理が難しい面貸しでも柔軟に対応できます。
サロエボがあれば、業務効率化と集客力強化が可能になります。安定した集客を実現するためにもぜひ導入をご検討ください。
まとめ
この記事では、面貸しとは何か、面貸しの報酬体系について、面貸しで働くときの注意点、面貸しで安定した経営を実現するための方法を紹介しました。
これまで、美容師として独立するには、自分の店舗を準備するという高いハードルが存在していました。しかし「面貸し」というビジネスモデルの登場により、店舗を持たずに独立するという選択ができるようになっています。
開業資金の調達に悩むことなく、独立開業できるのは「面貸し」の大きな魅力です。
ただし、面貸しは、集客などを一人で行わなければいけません。安定した集客のためには、複数の予約チャネルを導入するのが効果的ですが、数が増えるほど予約管理が煩雑になってしまいます。
そこで、面貸しで独立を考えている方には、予約管理システム「かんざし」の導入がおすすめです。
かんざしは、複数の予約チャネルを一元管理できるため、予約管理の手間を大幅に削減できます。面貸しで独立し、自分らしいスタイルで美容師としてのキャリアを築きたい方は、ぜひ「かんざし」をご活用ください。