サロンの名前を決めることは、想いを形にする大切な作業です。
店舗のコンセプト、お客様へのメッセージ、オーナーの夢や情熱など、さまざまな想いを込めて決められると思います。
しかし、サロンの名前を決める前に、知っておくべきことがあります。それは、サロンの名前が集客や売上に大きく影響するということです。
実は、想いを込めたサロン名であっても、いくつかの要因により集客の妨げになってしまうことがあるのです。長く安定した経営を実現するためには、サロンの名前にも戦略的な視点が必要になります。
ここでは、集客や売上につながるサロン名のつけかたについて、4つのルールや注意点、サロン名を決めた後でしておくべきことについて解説します。
サロン名が売上に関係する理由
サロンの名前が売上に関係する理由には以下の4つがあります。
- 初来店のハードルを下げる
- 記憶に残りやすいと口コミで広がりやすい
- 他のサロンとの差別化が図れる
- サロンの方向性を明確にする指針になる
詳しく解説していきます。
初来店のハードルを下げる
お客様がサロンを選ぶ際、最初に目にする情報の一つがサロン名です。その時のイメージが、来店を決める一つの判断材料となることも少なくありません。
サロン名は、お客様がコンセプトや雰囲気、サービス内容を想像するきっかけとなることがあります。、サロン名に「リラックス」や「リーフ」という言葉が使われていれば、ナチュラルで落ち着いた雰囲気の中で施術を受けられることが想像できます。
また、「エレガント」や「ビューティー」といった言葉が使われていれば、上品で洗練されたサービスを連想しやすくなります。
お客様はサロン名からさまざまなことを想像します。その中で「自分に合ったお店かもしれない」と感じてもらえれば、来店につながる可能性が高くなります。
記憶に残りやすいと口コミで広がりやすい
お客様が来店を決める際、参考にするのが口コミです。特に、家族や友人、知人からの評判は高い信頼性を持っています。株式会社アスマークの「情報取得に関するアンケート調査」では、信頼できる情報源として「友人・知人・家族」と回答した人の割合が最も多く、全体の約4割でした。
参考:情報取得に関するアンケート調査|株式会社アスマーク
つまり、実際に来店されたお客様が、良い評判を周囲の人に伝えることで集客につながる可能性が高くなります。ここで重要になるのがサロン名です。
サロン名が記憶に残りやすいものであれば、お客様が周囲の人に評判を伝える際、サロン名を正確に伝えられます。反対に、読みにくかったり覚えにくかったりすると、会話の中に正確なサロン名が出てこなくなり、せっかくの良い評判が広がりにくくなってしまいます。
このように、覚えやすく話題にしやすい名前をつけることは、口コミによる集客効果を高めるうえで重要なポイントです。
他のサロンとの差別化が図れる
競争の激しい美容業界で生き残るには、他のサロンとの差別化が不可欠です。その中でも、サロン名は差別化につながる重要な役割があります。
例えば、「Blanc」や「Ciel」といったオシャレな響きのフランス語をサロン名に使用するケースは多く見られますが、似たような印象のサロンが増えてしまうと、差別化が難しくなります。
一方で、「自然派ハーブカラー&ヘッドスパ」や「頭皮ケア専門店」など、サロンのコンセプトや強みが伝わる名前にすることで、他店との違いを明確にできます。お客様にとっても、他のサロンとの違いが分かりやすく、自分に合ったお店を選びやすくなります。
サロンの方向性を明確にする指針になる
サロン名は、店舗のコンセプトやサービスの方向性を明確に示す重要な要素です。店舗が大切にしたい価値観や特徴を名前に込めることで、サービス内容全体に統一された方向性を持たせられるためです。
例えば、オーガニック製品にこだわるサロンであれば「ナチュラルオーガニックヘア」という名前で、自然派志向の人に向けたサービスを展開できます。サロン名に「オーガニック」を掲げる場合、可能な限りオーガニック製品を取り入れることで、お客様の信頼に応えることができます。
明確なコンセプトに基づいたサービスの提供は、お客様の共感を呼び、ファンの獲得にもつながります。さらにファンからの口コミは新規のお客様の来店意欲を高めるため、さらなる集客が期待できます。
売れるサロン名をつくる4つの基本ルール
売れるサロン名を考える際に役立つ4つの基本ルールをお伝えします。
- シンプルで印象に残る
- 店舗のコンセプトやイメージが伝わりやすい
- 他のサロンと混同されにくい
- 検索エンジンで見つけやすい
お客様に選ばれ、売上を生み出すための具体的なポイントを解説していきます。
シンプルで印象に残る
サロン名は、お客様の記憶に残ることが重要です。名前が記憶に残りやすいと口コミやSNSで紹介されやすくなり、新規のお客様の獲得につながりやすくなるためです。
印象に残るサロン名を作る一つの方法として、なるべく短くシンプルな名前にすることがおすすめです。
2〜3語程度の短いサロン名やオリジナルの造語を使えば、独自性が高まり、他店との差別化にもつながります。一方、名前が長かったり、発音が難しかったりすると、お客様は覚えにくく、人に紹介する際も説明が難しくなってしまいます。
シンプルで独自性のあるサロン名にすることで、認知度アップにつながるため集客効果が期待できます。
店舗のコンセプトやイメージが伝わりやすい
サロン名は、一目でどんな業種のお店なのかがわかることが大切です。
例えば、美容室なのにカフェやレストランを思わせる名前では、お客様が混乱したり、目的のサロンを見つけにくくなったりする可能性があります。
業種や特徴が伝わりやすいサロン名にすることで、名前を通じて適切な期待感を持ってもらえます。初めてのお客様も来店しやすいため、集客につながる可能性が高くなります。
他のサロンと混同されにくい
名前が似た店舗が同じエリアにあると、お客様が混乱してしまうことがあります。例えば、「大阪王将」と「餃子の王将」のように、名前が似ていると、「どちらのお店だったかわからない」となり、結果的に来店の機会を逃すことになります。
検索エンジンで見つけやすい
お客様がサロンを選ぶときは、インターネット検索から始まることが多いです。そのため、GoogleやYahooなどで検索した際、検索結果の一番上に表示されるサロン名にすることが重要です。
たとえば、「earth」や「ミルクティー」など、一般的な単語をそのまま店名に使うと、美容室だけでなく、地図や関連する商品、全く別の業種の情報が検索結果に表示されることがあります。お客様は、多くの情報の中からサロンを探す必要があるため、手間がかかるだけでなく検索を途中であきらめてしまうかもしれません。
この問題を解決するには、「地域名」や「通り名」を店名に組み合わせることが有効です。
情報が絞られると、検索結果で上位に表示されやすくなります。他にも「公式サイト」「美容室」「ヘアサロン」など、業種を表す言葉を組み合わせることで、お客様が目的のサロンにたどり着きやすくなります。
サロン名を決める際の注意点
サロン名を決めるときに、後々のトラブルを防ぐために押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- 商標権侵害を避けるための調査を行う
- 類似のサロン名に注意する
安心して使えるサロン名を選ぶための具体的な方法をご紹介します。
商標権侵害を避けるための調査を行う
サロン名を決めるときには、商標登録を確認しましょう。商標とは、事業者が自分の商品やサービスを他のものと区別するために使用する「マーク」や「名前」のことを指します。サロンの名前やロゴも商標にあたります。
商標権は、こうした名前やマークを財産として守るための知的財産権です。もし他の事業者が同じ名前を商標登録している場合、その名前を使うことはできません。また、知らずに使ってしまうと、営業停止を求められたり、法的なトラブルに発展する可能性があります。
そのため、サロン名の候補が決まったら、特許庁の商標データベースを使って調べるのが安心です。データベースでは、すでに登録されている名前やロゴを検索できます。
調査してもわからない場合は、知的財産の専門家である弁理士へ相談することも検討しましょう。
類似のサロン名に注意する
サロン名を決めるときは、近隣に似た名前の店舗がないか確認することが大切です。似た名前の店舗があると、お客様の混乱を招き、集客の機会を逃してしまう可能性があるためです。
例えば、「Ciel Hair」というサロン名の近くに「Ciel Beauty」や「Ciel Studio」といった似た名前の店舗があると、お客様は混乱してしまいます。「カットがとてもうまいCielというサロンがあると聞いたけれど、似た名前のお店がいくつもあって、どれが評判のお店なのかわからない」といった状況が生まれ、結果として集客の機会を逃してしまう可能性があります。
機会損失を避けるためにもインターネットで事前に検索を行い、同じ名前や似た名前がないかを調べておきましょう。
サロン名を決めた後にしておきたいこと
サロンの名前が決まった後にしておきたいことは以下のとおりです。
- 商標登録
- ドメインやSNSアカウントの確保
- サロン名を広めるためのプロモーション
詳しく解説していきます。
商標登録
サロンをオープンする際は、サロン名を商標登録しておきましょう。商標登録をしておくことで、他店舗が同じサロン名を使用するのを防げるためです。
商標登録の申請は、以下2つの方法があります。
- 日本特許庁のウェブサイトからのオンライン申請
- 書類による直接申請
初めて商標登録を行う場合は、専門家(弁理士など)に相談することをおすすめします。費用と手間はかかりますが、将来的なトラブルを防ぎ、サロンのブランド価値を守るための重要な投資といえます。
ドメインやSNSアカウントの確保
サロンのWebサイトやSNSを解説する場合は、ドメインやアカウントの取得も忘れずに行いましょう。ドメインはURLの「http://」からうしろの部分です。
ドメインはインターネット上の住所のような役割があり、同じものは取得できません。早い者勝ちになるので、自分のサロン名に関連したドメインが取れるかどうか、早めに確認することが大切です。例えば、「LUNA HAIR」という名前のサロンなら、「lunahair.com」や「lunahair.jp」といったドメインが使えるかどうかを調べてみましょう。
同じように、SNSのアカウント名も確認しておく必要があります。InstagramやXで、店名に関連するアカウント名がすでに使われていないか調べ、早めに確保するのがおすすめです。
サロン名を広めるためのプロモーション
サロン名を多くのお客様に認知してもらうには、以下のようなプロモーションが効果的です。
1. SNSを活用した情報発信
- Instagramでサロンの雰囲気が伝わる内装写真を投稿
- 得意な施術やスタイルの写真をビフォーアフターで紹介
- スタッフ紹介や日々の出来事を投稿し、親近感を演出
- 地域特化型ハッシュタグを活用(例:#渋谷美容室 #表参道ヘアサロン)
2. キャンペーンの実施
- 初回来店のお客様に使える割引クーポンの配布
- お友達紹介特典の設定(紹介した方、された方双方にお得な特典)
- SNSのフォロー&いいねでプレゼントが当たるキャンペーン
- 期間限定の特別メニューの提供
3. 地域に密着した宣伝活動
- 近隣のマンションや住宅へのチラシのポスティング
- 地域の情報誌やフリーペーパーへの広告掲載
- 駅や商店街の掲示板へのポスター掲示
4. オンライン予約サイトの活用
- HOT PEPPER BeautyやMinimo等の予約サイトへの掲載
- お客様の口コミ投稿の促進
上記の施策を組み合わせることで、新規のお客様の獲得とリピーターの確保を同時に実現できます。特にオープン直後は、サロンの認知度を高める重要な時期です。そのため、複数の施策を並行して実施することをおすすめします。
サロン名に悩んだときの2つの解決方法
サロン名を考えるのは楽しい反面、なかなか決まらず悩んでしまうこともあります。
ここでは、サロン名をよりスムーズに決めるための具体的な方法を2つご紹介します。
- ブレインストーミング
- クラウドソーシングサービスの活用
ブレインストーミング
ブレインストーミング(通称「ブレスト」)とは、複数の人が集まり自由に意見を出し合い、新しいアイデアを引き出す方法です。アメリカの広告会社BBDOのオズボーン氏が考案したこの手法は、「脳(Brain)」と「嵐(Storm)」を組み合わせた言葉からきています。
ブレインストーミングの最大の特徴は、自由な雰囲気で多くの意見を集めることです。これにより、独創的なアイデアや普段は思いつかない発想が生まれ、参加者同士の新しい気づきにもつながります。
ブレインストーミングのポイント
効果的なブレインストーミングを実現するには、相手の意見を否定せず、どんな意見でも受け入れる「批判厳禁」の姿勢を持つことが大切です。一見奇抜に感じる名前が出てきても、それを否定せずに受け入れましょう。
また、アイデアの質にこだわりすぎず、できるだけ多くの意見を出す「質より量」の考え方を重視します。
ブレストで出てきたサロン名は、組み合わせたり発展させたりして、新しい発想を生み出す「結合改善」を心がけます。これらのポイントを意識することで、より創造的なアイデアが生まれやすくなります。
クラウドソーシングサービスの活用
クラウドソーシングとは、インターネットを通じて仕事を依頼したり、受けたりする仕組みのことです。例えば、「クラウドワークス」や「ココナラ」といったサービスを使えば、クラウドソーシングサービスに登録している多くの人にアイデアをもらうことができます。
また、プロのクリエイターやネーミングの得意な人に依頼することで、自分では思いつかないような名前の提案を受けられるため、選択肢が広がります。
依頼するときは、サロンのコンセプトやイメージを具体的に伝えることがポイントです。例えば、「自然派で癒しの雰囲気がある名前」や「若い女性に響くおしゃれな名前」など、希望を詳しく説明すると期待する結果が得られやすくなります。
理想の店名が決まった後に選びたいPOSシステム「サロエボ」
サロンをオープンした後は、予約の管理、売上の確認、顧客情報の整理など、さまざまな業務をこなす必要があります。そのため、理想のサロン名が決まった後は、サロン運営の効率化についても検討しましょう。
サロン運営における日々の業務を効率化するなら、POSシステム「サロエボ」の導入がおすすめです。
サロン業務の一元管理で集客力をアップ
「サロエボ」は、サロン運営に必要なすべての業務を一元管理できる、サロン専用のPOSシステムです。
これまで別々に管理していた予約、売上、顧客情報、販促活動などをひとつのシステムでまとめられます。日々の業務を効率化することで、スタッフの負担軽減にもつながり、接客や施術に集中できる環境を作ることが可能です。
また、売上管理機能では、売上データを簡単に集計・分析できるため、どのサービスが人気なのかや改善すべきポイントを把握できます。
販促アプリやCRM(顧客関係管理)機能を使い、お客様に特典やクーポン情報を発信することもできるので、リピーターの獲得にも効果的です。
予約管理システムとの連携で実現する業務効率化
サロエボは、予約情報を一元管理できる「かんざし」との連携も可能です。
かんざしを導入することで、Webサイトや電話予約、予約サイトなど、さまざまな窓口から入ってくる予約を一つの画面で管理できます。予約状況がリアルタイムで更新されるため、ダブルブッキングや確認漏れを防げます。
また、サロエボとかんざしを連携することで、予約情報から顧客情報の確認が可能です。
そのため、予約管理が効率化するだけでなく、販促活動もスムーズに行えます。
まとめ
サロン名は、お客様にとってお店の第一印象となる大切な部分です。
覚えやすく、他店と差別化できる名前を選ぶことで、新規顧客を呼び込みやすくなります。
ただし、名前が個性的すぎると覚えにくくなり、逆にお客様を混乱させてしまう場合もあります。特に意味が伝わりにくい名前は避けた方が良いでしょう。
サロン名を考える際には、ブレインストーミングで多くのアイデアを出したり、クラウドソーシングサービスを活用して専門的な意見を取り入れる方法が効果的です。
理想の名前が決まった後は、サロン運営をスムーズに進めるためのシステム導入も検討しましょう。「サロエボ」のようなPOSシステムを活用することで、予約管理や売上分析、顧客情報の整理が効率化されます。
これにより、スタッフが接客や施術に集中できる環境を作り、顧客満足度の向上や集客力アップが期待できます。システム導入時のデータ移行作業は、経営期間が長いほど時間や手間がかかるため、後々になるほど大きな負担となります。そのため、開業準備と並行して、早めの導入検討をおすすめします。